◆「授業料実質無償化」が主要因だが……
なぜ急にこうしたことが起きたのかというと、2017年度から都内在住の世帯年収760万円未満を対象に、国の就学支援金と合わせて都内の私立高校平均授業料年間44万2000円までの助成金が支給されるようになったからです。
これまで「学費が高い」という理由で私立を敬遠していた家庭にとっては朗報でした。学費が同水準なら、大学進学指導、生活指導がしっかりしている私立高校を選ぼうとなったわけです。
そのほかこれからわが子が巣立っていくグローバル社会、IT社会を見据え、「英語4技能の習得」「多彩な海外研修の機会」「サイエンス教育」といった面で先を行く私立高校にしよう、といった側面もあると思われます。
◆上位校は人気不動なので要注意
このように述べてくると、都立高校全体が易しくなっているように錯覚しがちですが、志望者が減少している学校の内訳を見ていくと、ほとんどが普通科の下位校、総合学科、専門学科です。将来の大学進学を考えて中堅以上の普通科に進んでおきたいという志望は変わっていません。
ちなみに2018年度入試の普通科志願者数ベスト10を見てみると、日比谷(4位)、青山(5位)、戸山(6位)の進学指導重点校はベスト10に入っています。
次のレベルの進学指導特別推進校では新宿(1位)が、進学指導推進校では北園(2位)、豊多摩(7位)が入っています。ベスト10のうち半数以上を上位校が占めていました。つまり上位校は全体動向に関わらず人気が続いているということです。
2019年度も人気校と不人気校で入試の状況は全く異なると捉えたほうがいいでしょう。このことは、都立高校も私立高校も同じです。