だが彼は、「本当に達成したい夢なのかを自分の中で確認でき、皆さんに恩返しするという覚悟も決まった」と、口をしっかりと真一文字に結んだ。現状維持バイアスを克服し、夢に向かうことを選んだのだ。
自己実現に向け歩き出したウエンツさん。心理学では、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」という、著名な心理学者アブラハム・マズローの仮説をもとに作られた欲求段階説が有名だ。マズローの説は、人間の欲求を5段階からなるピラミッドとして考えたものだ。
一番下の階層は、生きていくために必要な生理的欲求、その上は安全で安心な暮らしへの安全欲求。3番目は他者や集団から受け入れられたいという社会的欲求(所属と愛情の欲求)、その上は他者から認められたい、尊敬されたいという承認や尊厳欲求。一番上が、あるべき自分になりたいという自己実現欲求である。1つの欲求が満たされると、人はその上にある欲求を満たそうとするという。タレントやMCとしてその能力を評価されているウエンツさんなら、4番目の欲求まで満たされているだろう。彼にとっては、今が最上位の自己実現欲求を満たす時であり、自らの内面に潜在する能力や可能性の実現に向けて取り組み始める時なのだ。
自己実現欲求は成長欲求でもある。大きく成長したウエンツさんが日本に帰国した後、全力で暴れまわる姿が今から楽しみだ。