「歩きスマホ」が問題視されるようになって久しいが、改まるどころか益々増えている印象さえ受ける。すぐに避けることが難しい障害者にとって、歩きスマホをする人間は恐怖以外の何物でもないが、障害者が健常者にあえてぶつかると罪になるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
以前の法律相談で「歩きスマホに憤ってわざとぶつかり故障させたら弁償するべきか」の回答にショックを受けました。先生はぶつかった側が弁償の責任を負うと答えています。しかし、私は右足に障害があり、歩きスマホの健常者に対しては、あえて正面からぶつかっています。やはり私のほうに問題アリですか。
【回答】
あなたが、そのまま歩いて若者にぶつかり、若者が転んでケガをしたとしましょう。あなたは足が不自由であっても、身構えることができますから、さほど大きな影響はないはず。また、ぶつかることを予想していたので、若者が転んでケガをすることも予見可能です。
その場合、2人の間で新たに生じた事態である、若者のケガによる損失を誰が負担するかという問題になります。あなたは承知でまっすぐ進み、歩きスマホの若者は気付かずにまっすぐに進みました。歩きスマホが非難される度合いと、ぶつかるという行為をした、あなたの行為の違法性を比較すれば、いろんな意見があると思います。