国内

平成はディストピア化が進行した時代、象徴する一冊を紹介

翻訳家の鴻巣友季子氏

 天災や事件、事故が相次いだ平成が終わりを迎える前に、忘れてはいけない「平成」の一冊を、翻訳家の鴻巣友季子氏に選んでもらった。

●『献灯使』/多和田葉子著/講談社文庫/650円+税

 平成を振り返ると、どうも辛いことばかり思い浮かぶ。地下鉄サリン事件、阪神淡路大震災、米国での9.11同時多発テロ、イラク戦争、東日本大震災、その影響による東電の原発事故、二度の安倍政権樹立、IS樹立、トランプ政権樹立、熊本地震、森友加計問題……。

 世界的な傾向としては、右傾化、排他主義、民主主義の危機などなど、平成をひと言でいえば、「ディストピア化」ということになるだろうか。オーウェルの『1984年』などに代表される寡頭・独裁政治による一見穏やかな管理監視社会を指す。

 一部の支配者の都合でいつのまにか新しい法案が通過し、施行される。公文書は改ざんされ、管理下の「調和」の陰には、抑圧された人々、密かに葬られる人々がいる。上層社会は潤って安定しているが、その恩恵のトリクルダウンに与れない下層の人々がいる。ディストピアとはそんな世界だ。

 そうした平成に悲しいことにふさわしい一冊は、私にとって多和田葉子の未来小説『献灯使』である。先日、マーガレット満谷の翻訳により全米図書賞も受けている。

関連記事

トピックス

三浦瑠麗(本人のインスタグラムより)
《清志被告と離婚》三浦瑠麗氏、夫が抱いていた「複雑な感情」なぜこのタイミングでの“夫婦卒業”なのか 
NEWSポストセブン
オフの日は夕方から飲み続けると公言する今田美桜(時事通信フォト)
【撮影終わりの送迎車でハイボール】今田美桜の酒豪伝説 親友・永野芽郁と“ダラダラ飲み”、ほろ酔い顔にスタッフもメロメロ
週刊ポスト
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン