「あんな治療を受けなければ」「違う医者にかかっていたら」──こんな逡巡をした経験のある人もいるだろう。病気をしたりケガをすると人はさまざまな選択を強いられる。冷静な判断を下すにはどうしたらいいか。
例えば、膝や関節の痛みの対処には「鍼治療」や「接骨院」での施術など複数の選択肢があるが、最初に選択すべきは「整形外科」だという。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が話す。
「膝痛の原因としては、変形性膝関節症や関節リウマチなどが考えられますが、鍼治療や接骨院の施術者は医師ではなく、検査を含めた医療行為を行なえません。最初は整形外科を受診し、MRIなどの検査で膝痛の原因を特定したほうがいい」
検査の結果、膝痛の原因が判明してから、それに合わせて施術方法を選んでいく。
「リウマチや神経痛の場合、投薬治療よりも鍼で痛みを和らげるほうが効果的なこともあります」(室井氏)
また、体を起こそうとした時などに激痛が走り、歩けなくなることもあるぎっくり腰(急性腰痛症)の正しい応急処置は、「冷やす」だ。医師で医療ジャーナリストの富家孝氏がいう。
「ぎっくり腰になると、腰を痛めてから48時間は炎症物質が出続けると言われ、この間に患部を温めると炎症反応を助長する怖れがあります。この場合は、患部を冷やすことで炎症を抑制することが大切です」
ぎっくり腰に限らず、捻挫や打撲などでも発生から2~3日の急性期は患部を冷やし、炎症を抑えることが基本的な処置となる。
※週刊ポスト2019年1月18・25日号