ディップがプロバスケットボールチーム・さいたまブロンコスのオーナーに就任
新興企業がプロスポーツに新規参入する事例としては、プロ野球の2004年オフの動きがよく知られており、ソフトバンクホークス、楽天ゴールデンイーグルスが誕生した。この時の例に代表されるように、気鋭の企業による参入ではそのスポーツの「トップ」にあたるリーグにチームを持つイメージが根強くあるが、近年はそうした流れが変わりつつあるようだ。
2018年には、サイバーエージェントがプロサッカー2部のJ2だったFC町田ゼルビアの経営権を取得。当時の会見で、「東京・町田から世界へと通じる、ビッグクラブへの成長をサポートしていきたい」と語ったサイバーエージェントの藤田晋社長は、2022年にはチームのCEOに就任。2024年からJ1昇格を果たし、昇格初年でいきなり3位となったのは記憶に新しい。
オーナーになるのが夢だった
昨年8月にもJ2の大宮アルディージャをオーストリアの大手飲料メーカー・レッドブルが買収。今年2月にはレッドブルのサッカー部門グローバル責任者を務めるリバプール前監督のユルゲン・クロップ氏が試合の視察に訪れるなど、チーム強化への注力が注目を集めている。プロバスケットボールのBリーグでは、不動産業界準大手のヒューリックが今年1月に2部(B2)のアルティーリ千葉の筆頭株主となった。気鋭の企業が、「下部」リーグのチームを育てるというかたちで成果をあげようとする流れがあるように読み取れる。
そうしたなか、新たにプロバスケットボールチーム・さいたまブロンコスのオーナーに就任するのが、求人情報サービス「バイトル」などを運営するディップだ。ドジャース・大谷翔平をブランドアンバサダーに起用していることでも知られる同社だが、ブロンコスはBリーグ3部(B3)のチーム。なぜ、下部リーグのチームの運営に乗り出したのか。
6月25日の新オーナー体制発表の記者会見にはディップの冨田英揮社長が登場し、その思いを語った。
「Bリーグのチームのオーナーになるというのは、実はかねてからの夢でした。学生時代からバスケットが好きで、いつかチームの一員としてかかわってみたいとずっと思っていました。企業経営者になった今、地域と共にスポーツを育てる側に立つチャンスが来たと感じたのです。
加えて、弊社が取り扱っているメインサービスは『バイトル』なのですが、その中心ユーザーは若者層。プロバスケットチームのファン層も同じ若年層です。バスケファンたちに自分たちのサービスがさらに広く遡及できるのではないかと考えた結果です。地域密着でロイヤリティを高めることが、事業にも好循環を生むことでしょう」