歯周病治療の隠れたトラブルが、治療費をめぐる問題だ。インプラント手術であれば、治療前に見積書の提示が可能だが、歯周病の場合は治療経過によって大きく変わってくるので、見積もりが難しい。
保険診療の範囲であれば、一定の目処が立つが、抜歯して自由診療のインプラントなどを行なうとなると、大きな金額になる。
中には、費用を払えずに、途中で治療を断念するケースもあるという。トラブルを回避するには、治療方針が変更になる際、必ず費用を確認していくことだろう。
◆治療に通っても、症状が良くならない
慢性の歯周病治療は、とてもシンプルだ。バイオフィルム(*注)の除去が基本となる。にもかかわらず、治りづらいというイメージが強い。
【*注/歯の表面に強固に付着しているネバネバした虫歯や歯周病の原因となる細菌の塊。プラークとも呼ぶ】
これは歯周病治療を巡る大きな誤解が関係していると、弘岡氏は指摘する。
「歯肉の下側のバイオフィルムは、プロでなければ除去できないので、歯科医と歯科衛生士の責任です。一方、歯肉から上の部分は、患者さん自身が歯磨きで努力する必要があります。これを患者だけでなく、歯科医も理解していません」