国際情報

金正恩氏の政策矛盾が露呈、平壌や新義州のマンション暴落

要人暗殺の厳罰化が金正恩の危機感を表している

体制はガタガタか

 北朝鮮では最近、金正恩朝鮮労働党委員長の肝いりで建設された首都・平壌や中国との国境地帯にある経済都市、新義州の新築高級マンションの値段が急落している。米朝首脳会談が不調に終わったことが大きく影響しているほか、金氏が推進している汚職撲滅運動なども不動産価格を押し下げているようだ。米政府系報道機関「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。

 金氏はここ数年、平壌市内のタワーマンション団地建設に加え、中国との国境に面する新義州全体を再開発するという巨大プロジェクトをぶち上げた。これには高級幹部や北朝鮮の新興富裕層である「金主(トンジュ)」に対して、これらの不動産物件に投資させることで利益を出させ、自身への支持を取り付けようとする思惑が働いているとみられる。

 しかし、ある平壌市民がRFAの取材に対して明らかにしたところでは、平壌の高級マンションは販売不振で、価格が大幅に下落しているという。

 米朝首脳会談で北朝鮮に対する制裁解除が実現せず、投資家の心理を萎縮させているのが大きな理由だという。さらに、もっと大きな理由は金氏が行っている汚職撲滅運動である。北朝鮮の情報筋はRAFに対してこう指摘した。

「マンションを複数買えば、その資金について保衛部に疑いを持たれてしまう。そのため多くの幹部は購入をためらっている」

 同筋はさらに、「金氏は不動産市場を活性化しようとしているのだが、金氏自身が腐敗闘争を展開したことで、高価な不動産物件を持っているだけで、保衛部から目をつけられるのは明らか。つまり、金氏はこれらの幹部の心の動きが分からないがゆえに、自ら墓穴を掘った形だ」と指摘している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
昨秋からはオーストラリアを拠点に練習を重ねてきた池江璃花子(時事通信フォト)
【パリ五輪でのメダル獲得に向けて】池江璃花子、オーストラリア生活を支える相方は元“長友佑都の専属シェフ”
週刊ポスト
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
乱戦の東京15区補選を制した酒井菜摘候補(撮影:小川裕夫)
東京15区で注目を浴びた選挙「妨害」 果たして、公職選挙法改正で取り締まるべきなのか
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
NEWSポストセブン