また、病院や医師によって得手不得手がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが言う。
「長期にわたる入院患者のケアを得意とするところがあれば、突発的なけがや病気に強い病院があるなど、得意分野はそれぞれ違う。自分のかかっている病院が何を得意としているのか、そして、自分の求める医療と病院の長所が合致しているのかどうかを改めて考えることも大事です」
同じ診療科の看板を掲げる医療機関であっても、なぜ差が生まれるのだろうか。
「医療機関といえども商業的な側面があるのは間違いありません。特に個人開業医が運営するクリニックはその傾向が強く、儲けが出なければすぐに倒産してしまう。だから、本来なら優先すべき患者さんへの説明や、最新の医学情報の勉強がおざなりになる場合もあるのです。逆に言えば、クリニックは経営者や院長が信念を持っていればいい病院である可能性が高いといえるでしょう。
一方、総合病院など規模の大きい医療機関は、医師だけでなく看護師や各種技師などスタッフ全体の雰囲気が治療を左右する。スタッフが足りず看護師同士の関係がギスギスしていたり、医師とチームワークが取れていなかったりすれば、いい医療を提供できません」(前出・外科医)
医療技術や設備はもちろんだが、それ以上に大事なのは「相性」だという声もある。多くのメディアで「外科医けいゆう」のペンネームで情報発信する、消化器外科医の山本健人さんはこんな見方をする。
「患者さんが『この病院にかかってよかった』と感じるのは、治療内容そのものだけではなく、病院全体の雰囲気に満足してのことが多い。看護師や受付の事務員の感じがいいだけでも『病気がよくなった気がする』と話す人もいる。つまり、治療の技術の問題というより、信頼できるかどうかの問題であるように感じるのです。
患者さんにとって今の治療が効いているかどうか、判断するのは難しい。だからこそ患者さん自身が『この先生とは合わない』と思ったときこそ、医師の替え時ともいえると思います」
※女性セブン2019年4月18日号