国内

大雨続いたら? 的確な情報収集と避難シミュレーションが重要

鹿児島市内を流れる和田川の一部が氾濫(共同通信社)

 降り続く豪雨に、河川は氾濫し、地盤は緩み、土砂が崩れる。気温は急上昇し、日差しはさらに強さを増す──梅雨から秋口まで異例の天候不順が続いた昨年を上回るこの“異常気象”はいつまで続くのか!?

 6月末から7月4日にかけて、集中豪雨が九州南部を襲った。雨量は宮崎県えびの市で1089.5mm、鹿児島県鹿屋市で901mmなど、1か月分の総雨量を超えた地域もあった。

 実際、大雨が続いたら、まず何を確認すべきだろうか。気象防災アドバイザーでもある気象予報士の尾崎里奈さんに聞いた。

「自分で情報を取りにいく姿勢が重要です。猛烈な雨では町の防災無線などのスピーカー音は聞き取りにくく、頼りになりません。大雨の予想が出ていると知った時点で、インターネットの防災情報や市区町村のホームページなどで避難情報が出ていないかの確認をしてください」

 また、避難所は必ずしも安全とは限らない。

「山沿い、崖沿いなど土砂災害の危険があれば、そこから離れてほしい。建物ごとのみ込まれてしまう恐れがあります。身の回りの危険を確認した上で最善の方法をとるべきです」(尾崎さん・以下同)

 そのためにも、倒壊や土砂災害の危険性を確認し、避難経路を決めておくべきだ。

 土砂災害以外の危険もある。

「浸水や堤防の決壊などによる洪水被害で怖いのは、あわてて避難するケース。くるぶし程度など水深が浅くても、水の流れが速いと足をとられてしまいます。こういう時は2階や屋上など高所へ上がり、救助を待ってください。

 山地河川の氾濫では、雨が山肌を削り、土砂やなぎ倒した木々を巻き込んだ濁流が家をのみ込んでしまいます。河川流域にお住まいのかたは、上流で大雨になっていないか確認する必要があります」

 昨今の災害には、スマホなどによる情報入手が大切だと尾崎さんは言う。

「インターネット環境を整え、予備のバッテリーなども用意しておきましょう」

◆梅雨明けまで集中豪雨の危険は続く

 今回大きな被害のあった鹿児島県では、1993年にも「8.6豪雨災害」で49人の死者・行方不明者を出している。今回の豪雨でも油断は禁物だと気象予報士の饒村曜さんは警鐘を鳴らす。

「8.6豪雨という名称から8月の雨を想像しますが、実は7月に強い雨が降り、8月にダメ押しの豪雨が降って大きな災害となったのです。

 あまり間をおかずに再び雨が降ると、通常よりも少ない雨でも土砂崩れの危険性が急速に高まるというケースを想定しなくてはいけません。

“梅雨入り・梅雨明け”という言葉は季節の移り変わりを告げてくれますが、それと同時に、災害を予測し、それに備えるための情報でもあるのです」(饒村さん)

 気象庁が7月4日に発表した1か月予報によると、6~19日の気温は「平年並みか低い」、もしくは「低い」。15日は「海の日」だが、海やプールで楽しむには少々厳しい気候となりそうだ。

※女性セブン2019年7月25日号

通常は平均気温が30度以上のメキシコでは、6月30日、大量の雹で豪雪地帯のように(時事通信フォト)

エッフェル塔付近の噴水池では、多くの人が水浴びをする姿が見られた(時事通信フォト)

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
“もしトラ”リスクも…(写真/AFP=時事)
【緊迫する中東情勢】イラン・イスラエルの報復合戦、エスカレートすれば日本にも影響 “もしトラ”リスクが顕在化
週刊ポスト