ライフ

「不死身の分隊長」こと船坂弘軍曹 激戦の敵と“戦友”に

「不死身の分隊長」こと舩坂弘軍曹とクレンショー氏(舩坂良雄氏提供)

 終戦から70有余年。旧日本軍人は連合国から「戦犯」として裁かれた。しかし──そのなかには、敵国からも尊敬の念を抱かれた男たちがいた。立場を超えて「畏怖」の対象となった軍人たちの誇り高き足跡を辿る(記事中の肩書きは最終階級)。

 戦後ではなく、戦中から友情を育んでいた日米の軍人もいた。太平洋戦争最大の激戦地の一つといわれ、約1200人のうちわずか50人ほどしか生還しなかったパラオ諸島・アンガウル島がその舞台である。

 米軍の猛攻撃で瀕死の重傷を負った“不死身の分隊長”こと舩坂弘軍曹は左手に拳銃、右手に手榴弾、さらに全身に5発の手榴弾をくくり付けて、米軍司令部に突撃したが、左頸部を撃ち抜かれて昏倒。米軍に“救出”されるも、意識は丸二日戻らなかった。にもかかわらず、意識を取り戻した後には監視兵の襲撃や、飛行場の爆破を試みたのであった。

 この舩坂軍曹の執念を、デービッド・オズボーン元米国大使館・代理大使は「勇敢な活躍」と称賛し、米軍将校としてアンガウル島で戦ったロバート・E・テイラー(マサチューセッツ大学教授)は舩坂軍曹に宛てた手紙で「日本人全体のプライドとして残ること」と評した。そして当時、捕虜の舩坂軍曹を監視し、幾度も脱出を試みる彼を取り押さえながらも決して銃殺はせず、「命を粗末にしてはいけません」と諭したのが、米軍通訳兵のフォレスト・バーノン・クレンショーだった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の母・加代子さん(左)と妻・真美子さん(右)
《真美子さんの“スマホ機種”に注目》大谷翔平が信頼する新妻の「母・加代子さんと同じ金銭感覚」
NEWSポストセブン
二階俊博・元幹事長の三男・伸康氏が不倫していることがわかった(時事通信フォト)
【スクープ】二階俊博・元自民党幹事長の三男・伸康氏が年下30代女性と不倫旅行 直撃に「お付き合いさせていただいている」と認める
NEWSポストセブン
雅子さまにとっての新たな1年が始まった(2024年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)
《雅子さま、誕生日文書の遅延が常態化》“丁寧すぎる”姿勢が裏目に 混乱を放置している周囲の責任も
女性セブン
M-1王者であり、今春に2度目の上方漫才大賞を受賞したお笑いコンビ・笑い飯(撮影/山口京和)
【「笑い飯」インタビュー】2度目の上方漫才大賞は「一応、ねらってはいた」 西田幸治は50歳になり「歯が3本なくなりました」
NEWSポストセブン
司忍組長も姿を見せた事始め式に密着した
《山口組「事始め」に異変》緊迫の恒例行事で「高山若頭の姿見えない…!」館内からは女性の声が聞こえ…納会では恒例のカラオケ大会も
NEWSポストセブン
M-1での復帰は見送りとなった松本(時事通信フォト)
《松本人志が出演見送りのM-1》今年の審査員は“中堅芸人”大量増へ 初選出された「注目の2人」
NEWSポストセブン
浩子被告の顔写真すら報じられていない
田村瑠奈被告(30)が抱えていた“身体改造”願望「スネークタンにしたい」「タトゥーを入れたい」母親の困惑【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
「好きな女性アナウンサーランキング2024」でTBS初の1位に輝いた田村真子アナ(田村真子のInstagramより)
《好きな女性アナにランクイン》田村真子、江藤愛の2トップに若手も続々成長!なぜTBS女性アナは令和に躍進したのか
NEWSポストセブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン