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Instagramに流れる医療情報を盲信すべきではない理由

現役医師らによる「#インスタ医療団」活動の様子

現役医師らによる「#インスタ医療団」活動の様子

 またあるアカウントは食品添加物を敵視しており、マグロ、消臭剤、食卓塩、コンビニおにぎり、ハム、アーモンド、りんごなど様々なものを「危険」と断言している。投稿は毎回、「海外で正しい情報を得たことで余命宣告を克服した」という体験談で結ばれている。毎回約200件あまりの「いいね」や、「知りませんでした、ありがとうございます!」などの好意的なコメントがつく状態だ。

 ブログなどにこのような極端な投稿をしていたら、批判コメントもつくだろう。ところがInstagramでは賛同や共感のメッセージだけが並ぶ状態となっている。

◆クローズドな空間内での交流に注意

 なぜInstagramはこのような状態となってしまうのだろうか。これは、Instagramの特性が関係している。元々SNSは、同じような性質の人同士がつながりやすい場だ。さらにInstagramは、ツイートが検索対象となるTwitterなどと比べてクローズドな空間となっているためだ。

 震災時などには、不安で必要な情報が得られず、常に情報を求めている状態となるため、デマに惑わされやすい状態となることはよく知られている。

 同様に、育児中のママたちは、核家族化が進みかつてのように親世代から協力や情報を得づらくなっている。育児には心配事や悩みがつきものであり、常に情報を求めている状態だ。「大切な子どもに何かあってはいけない」という思いから、SNS内の極端な情報にも飛びついてしまいがちになるのではないか。

◆どのような医療情報か見極めて利用を

 適切な医療情報を得たり、適切な医療行為を受けないとどのようなことになるのか。たとえば、「Journal of the National Cancer Institute」に発表された論文によると、ガンの標準的な治療をせず代替医療を選んだ人が5年以内に死亡する割合は、標準治療を続けた人々と比べて最大で5.7倍も増加するという。

 日本でも2009年に、ホメオパシーという民間療法を信じる助産師が、新生児に必要なビタミンKを投与せず、ホメオパシーで使われるビタミンKの効果を持つとされる砂糖玉「レメディ」のみを与えたことで、ビタミンK欠乏症による出血で死なせる事件も起きている。育児中のママたちに不適切な医療情報が広まることで、子どもに甚大な被害を与える危険につながりかねないのだ。

 このような状態を憂い、現役医師などが「#インスタ医療団」というハッシュタグをつけてInstagramなどのSNSやブログなどで適切な医療情報を発信している。育児中に不安に襲われたら、このような情報や、省庁などが公開している情報を参考にするといいだろう。

 大切な子どものことだからこそ、心配になったり不安になるのは当たり前のことだ。心配や不安を一人で抱えたり、極端な情報に振り回されるのでなく、家族や医師などに相談して解決するようにしてほしい。

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