では、大事なマンションの修繕積立金を無駄に使われないためにはどうすればいいのか。土屋氏は「住民が業者間の談合や不適切な支出を見破るのは難しい」としながらも、こんなアドバイスをする。
「大事なことは、マンションで大規模修繕を行うことが決まったら、管理組合だけでなく住民みなが関心を持ち、依頼する会社も1社だけに任せきりにしないことです。
設計監理をする外部業者を立てる場合でも、“安いコンサル料”だけに踊らされて最終的に多額のマージンを抜かれていることが多いので、管理会社や設計コンサル事務所、独立系のコンサルタントなど様々な専門家の話を聞くことが大切です。
また、施工会社の選定では、決められた工事内容の相見積もりを出させる設計監理方式だけでなく、各社が各々に建物を確認して独自の発想で工事内容の提案を行う『プロポーザル方式(提案力比較型)』というやり方もあります。多種多様な進め方があるということを学べば、施工内容や金額がずいぶん変わってくることに気付くと思います」
マンション大規模修繕工事の悪質コンサル問題は、国交省も事態を重くみて調査に乗り出しているが、全容把握は難しい状況にある。
マンション住民が「自分たちのお金が不適切に使われるかもしれない」という危機意識を共有して、日ごろからマンション管理全般や修繕計画において、本当に必要な事とそうでない事の“仕分け”をしておくことも重要だろう。