松田医院和漢堂院長の松田史彦医師は、“複数の降圧剤を飲む”というタイプの多剤併用に警鐘を鳴らす。
「ひとつの降圧剤が効かなかったら『これも試してみましょう』と別の降圧剤を次々に追加処方され、多剤併用になる患者が少なくありません。複数の降圧剤を飲んでいて疲れやすくなったり動悸が激しくなったりしたら多剤併用の影響を疑ったほうがよい」
心筋梗塞や脳梗塞の原因となる「動脈硬化」の発症や進行を防ぐために、増えすぎた悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪の量を改善するのが脂質異常症治療薬だが、中には重大な副作用を抱えるものがある。
「『スタチン』と呼ばれるタイプの薬には、副作用として横紋筋融解症があります。これは筋肉が徐々に溶けたりして崩壊する病気で、進行すると筋肉痛や脱力感が生じ、歩くことすらできなくなる。溶けた筋肉が血液を通じて尿として排出されるため『尿がオレンジ色になる』ことが初期症状として知られています」(長澤氏)
降圧剤や脂質異常症治療薬のほかに、一度飲み始めると長い間付き合い続けなければならないのが糖尿病治療薬だ。
「副作用のリスクが大きいため、他の薬に比べて医師は処方に慎重になる傾向にありますが、それでも効き過ぎによって低血糖が生じ、手の震えや動悸、ふらつきが生じる場合がある。最悪の場合には昏睡状態に陥るケースもあります」(長澤氏)
これらの薬に限らず、服用後に皮膚に異変が生じたら、体の発するSOSと受け止めたほうがよいという指摘もある。
「そもそも薬は自然界に存在しないものを化学合成によって作り出したものが多いので、場合によっては人体が“拒絶反応”を起こします。その表われが、手やお腹、背中などにできるブツブツ(薬疹)です。これが生じたら薬が体に合っていない証拠といえます」(長澤氏)
※週刊ポスト2019年11月29日号