国際情報

新型コロナ禍の中国 ネット民は「自虐ネタ」で抗戦の構え

中国湖北省武漢市の臨時収容施設に収容された新型コロナウイルスによる肺炎の軽症患者(AFP=時事)

 コロナウイルスの猛威に晒される中国。人々は事態をどう捉えているか。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 新型コロナウイルス問題で外出が制限された中国では、いま日本のサラリーマン川柳ではないが、自分たちのおかれた悲惨な状況をジョークで吹き飛ばそうとする動きがネット上で盛んだ。感染拡大のホットポイント・武漢から遠く離れた東北でも、都市によっては「外出は毎日家族一人まで」とするところもあり、街はがらんとしている。

 湖北省では、外出そのものを禁じた「戦時管理」も話題となった。人々も、自ら積極的に人混みに向かうようなことはしない。そんななかネットに出されたジョークが、「国家への最大の貢献とは何か? それは家から出ないことだ」だった。

 改革開放政策が本格化して以降、中国の人々は忙しく過ごしてきた。そうした世代の多くが抱いた「夢」は、いつか「一日中何しないで、ただひたすら食って寝るという生活を繰り返す」ことだった。その夢が、新型コロナウイルスのおかげで、「こんなに早く実現するとは……」と嘆くジョークも話題となった。

 また、「よく食べ、ゆっくり眠り、家から出なかった結果」として、明らかに太っている写真を載せ、そのキャプションには「これでウイルスとの戦争にも絶対に負けない!」との書き込み。別の写真では、詰められるだけの食べ物が詰まった冷蔵庫の写真と一緒に、毛沢東の著書『持久戦論』が映っている。

 行動が制限された不自由を自虐ネタで吹き飛ばそうとする様子がネットを通じてよく伝わってくる。

 感染拡大の直後から、動画サイト『ティックトック』は、たくさんのドラマを買い取って無料で多くを提供した。それに助けられた人も多かったはずだ。このことを受けて、一部では「ウイルスとの戦争に勝利したころ、中国のほとんどの人はドラマ評論家になっている」というジョークも聞こえてくる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

二階俊博・元幹事長の三男・伸康氏が不倫していることがわかった(時事通信フォト)
【スクープ】二階俊博・元自民党幹事長の三男・伸康氏が年下30代女性と不倫旅行 直撃に「お付き合いさせていただいている」と認める
NEWSポストセブン
雅子さまにとっての新たな1年が始まった(2024年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)
《雅子さま、誕生日文書の遅延が常態化》“丁寧すぎる”姿勢が裏目に 混乱を放置している周囲の責任も
女性セブン
M-1王者であり、今春に2度目の上方漫才大賞を受賞したお笑いコンビ・笑い飯(撮影/山口京和)
【「笑い飯」インタビュー】2度目の上方漫才大賞は「一応、ねらってはいた」 西田幸治は50歳になり「歯が3本なくなりました」
NEWSポストセブン
司忍組長も姿を見せた事始め式に密着した
《山口組「事始め」に異変》緊迫の恒例行事で「高山若頭の姿見えない…!」館内からは女性の声が聞こえ…納会では恒例のカラオケ大会も
NEWSポストセブン
M-1での復帰は見送りとなった松本(時事通信フォト)
《松本人志が出演見送りのM-1》今年の審査員は“中堅芸人”大量増へ 初選出された「注目の2人」
NEWSポストセブン
浩子被告の顔写真すら報じられていない
田村瑠奈被告(30)が抱えていた“身体改造”願望「スネークタンにしたい」「タトゥーを入れたい」母親の困惑【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
「好きな女性アナウンサーランキング2024」でTBS初の1位に輝いた田村真子アナ(田村真子のInstagramより)
《好きな女性アナにランクイン》田村真子、江藤愛の2トップに若手も続々成長!なぜTBS女性アナは令和に躍進したのか
NEWSポストセブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン