ライフ

3人に1人しか社会復帰できない「くも膜下出血」の手術リスク

間質性肺炎はどんな病気?(写真はイメージ)

手術することのリスクも視野に

 脳MRI、頸動脈エコーなどを行なう「脳ドック」で見つかることが多い脳動脈瘤。脳動脈の一部がコブ状に膨らむ症状で、このコブが破裂すると脳と血管を包む「くも膜」の内側に出血し、くも膜下出血を起こす。

 くも膜下出血が発症すると突然の頭痛や吐き気に見舞われて、昏倒することもある。約半数が命を落とし、一命を取り留めても重い後遺症が残り、社会復帰できるのは3人に1人ほどという恐ろしい疾患である。

 そのため、検査で脳動脈瘤が見つかった段階でどのような処置をするかが重要になる。

「脳動脈瘤は自然に消滅したり薬物で小さくなることはなく、破裂の危険をなくしたり減らしたりするには外科的な治療が必要です」と語るのは、くどうちあき脳神経外科クリニック院長の工藤千秋医師。

「医師の共通見解として、脳動脈瘤は2~3mm以上になったら破裂する可能性が高くなります。私は2mm以上のコブが見つかったら原則としてオペを勧め、2mm以下の場合は血圧をコントロールしながら経過観察をします」(工藤医師)

 ただし、注意しなくてはならないのは、検査の際に「どこに」脳動脈瘤が見つかったかだ。

「脳の表面にある動脈瘤はカテーテルを使って比較的簡単に除去できますが、命を司る脳幹にコブがあると『手術することのリスク』が高くなります。

 手術中に脳幹を圧迫すると、動脈瘤を取り除けたとしても患者の意識が戻らなくなったり、重大な後遺症が残る怖れがあります。最悪の場合は命を落とすリスクもあるので、脳幹に動脈瘤がある場合の手術には慎重な判断が必要です」(工藤医師)

 侵襲性の大きい手術なので、患者の体力も必要になる。

「手術を行なうか否かを判断するうえで、『高齢者だから手術しない』という判断はしません。高齢でも体力があり、手術に耐えられると判断できればオペを勧めます。その一方で、重度の糖尿病、ぜんそくや閉塞性疾患などの呼吸器疾患があると全身麻酔自体が危険になるため、脳動脈瘤が見つかっても手術を避けることがあります」(工藤医師)

※週刊ポスト2020年3月13日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

5月8日、報道を受けて、取材に応じる日本維新の会の中条きよし参議院議員(時事通信フォト)
「高利貸し」疑惑に反論の中条きよし議員 「金利60%で1000万円」契約書が物語る“義理人情”とは思えない貸し付けの実態
NEWSポストセブン
殺害された宝島さん夫婦の長女内縁関係にある関根容疑者(時事通信フォト)
【むかつくっすよ】那須2遺体の首謀者・関根誠端容疑者 近隣ともトラブル「殴っておけば…」 長女内縁の夫が被害夫婦に近づいた理由
NEWSポストセブン
曙と真剣交際していたが婚約破棄になった相原勇
《曙さん訃報後ブログ更新が途絶えて》元婚約者・相原勇、沈黙の背景に「わたしの人生を生きる」7年前の“電撃和解”
NEWSポストセブン
なかやまきんに君が参加した“謎の妖怪セミナー”とは…
なかやまきんに君が通う“謎の妖怪セミナー”の仰天内容〈悪いことは妖怪のせい〉〈サントリー製品はすべて妖怪〉出演したサントリーのウェブCMは大丈夫か
週刊ポスト
令和6年度 各種団体の主な要望と回答【要約版】
【自民党・内部報告書入手】業界に補助金バラ撒き、税制優遇のオンパレード 「国民から召し上げたカネを業界に配っている」と荻原博子氏
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン