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体のたるみが気になるなら…「食べるだけで筋肉増加」スケソウダラの力

あなたの速筋の状態をチェック!

あなたの速筋の状態をチェック!

 テレビの健康番組で、芸能人が医師のチェックを受け「あなたの○○年齢は70歳です」などと言われているのを見て“自分は大丈夫かな……”と心配する人も多いのは、年を重ねるごとにカラダの衰えを実感しているからだろう。

 上のチェックリストをご覧いただきたい。このチェックリストは、筋肉や身体機能の研究の第一人者である石井直方・東京大学教授(東京大学スポーツ先端科学拠点長)の監修で製作された、「速筋」の状況を確認できるものだ。

 チェック数が1~4個の場合は“キケン信号点滅”で、〈速筋が減り始めているかもしれません。放っておくと、どんどん減少するので、今から速筋づくりを始めましょう〉とされる状態だ。そして5個以上は“ピンチ!”で、〈速筋がすでに減っている可能性大。対策が急務です。運動とタンパクの摂取で、今日から真剣に速筋づくりに励みましょう〉とされている。

 この指標となった「速筋」とはいったいなんなのか。チェックリストを監修した石井教授が語る。

「筋肉には、大きく分けて収縮速度が遅い遅筋と収縮速度が速い速筋があります。速筋は、素早い動作や、転ばないようにしっかり止まる際などに使われる筋肉です。太ももにある大腿四頭筋などに多く含まれていて、高齢になると素早い動きが難しくなったり転びやすくなったりするのは、加齢に伴う速筋の減少が大きく関係しています。また、ボディラインを整えたり、熱を生み出したりするのも主に速筋です。

 速筋は40代から減少が始まり、減り続ければ、近年よく聞かれる『サルコペニア(加齢性筋減弱症)』と言われる状態になり、健康寿命にも悪影響を与えてしまいます」

 太ももの筋肉や腹筋などは、なにもせずにいると衰える一方、「筋トレ」をして負荷をかけるなどしつつ、タンパクを摂れば増やせることで知られている。しかし、筋トレは多くの人が三日坊主に終わってしまうもの。「私はよく歩いているから大丈夫」──と思っている人もいるかもしれないが、速筋は筋トレのように筋肉に負荷をかけないと増えず、ウォーキングやヨガでは速筋を作ることはできないのだ。

 簡単には増やすことが難しいとされてきた「速筋」。そうした中、“食べるだけ”で速筋を増やすことが期待されるとして注目され研究が進められているのが、日本人にはお馴染みの食材・スケソウダラの速筋タンパクである。ちくわなど練り物、すり身の材料、たらこの親などとして知られるスケソウダラの速筋タンパクの力について、愛媛大学大学院農学研究科の岸田太郎教授が解説する。

「スケソウダラの肉はほとんどが速筋です。その速筋タンパクを食べ続けると特に速筋が増えることが分かってきました。ラットの実験ではスケソウダラの速筋タンパクを6週間与え続けた際に、特に速筋が多いとされる腓腹筋の量が105.2%に増えたという結果が出ました。同じ期間、乳製品に含まれる一般的なタンパクであるカゼインタンパクや、ホエイ、大豆、卵白のタンパクを与え続けたラットでは、筋肉の増加は見られません。スケソウダラの速筋タンパクを食べ続ければ、他のタンパクに比べて著しく筋肉量が増加することがわかったのです」

左の筋肉は白くなっている。速筋が増加したためだ

左の筋肉は白くなっている。速筋が増加したためだという

 写真のように、スケソウダラの速筋タンパクを摂取したラットの筋肉は白くなっていた。これは速筋が増加したためだという。

 さらに、65歳以上の女性19人が1日4.5gのスケソウダラの速筋タンパク(スケソウダラのミンチ)を3か月食べ続けたところ、下半身の筋肉量が1.5%増えたという実験結果もある。スケソウダラの速筋タンパクを毎日食べる以外に特別な運動はしていないから、“食べるだけ”で速筋が増えたと考えられるという。

 スケソウダラの速筋タンパクについて研究する「APP研究会」の事務局を務める日本水産食品機能科学研究所の内田健志氏が言う。

「スケソウダラの速筋タンパクによる筋肉量の増加は、介護認定で『要支援1』『要支援2』となっている女性12名(プラセボ5名、スケソウダラ7名)に3か月食べていただいた実験でも証明されています。週3~4回食べていただいた例でも運動機能向上に効果がありましたが、毎日摂取するほうがより効果が高かったと言えます。効果が顕著になるスケソウダラの速筋タンパク摂取量の目安は、1日4.5g以上です」

スケソウダラは身近な食材だ

スケソウダラは身近な食材だ

 日本では古くから食べられてきたスケソウダラは、店頭ではちくわやかまぼこ、かにかまなどの形で食卓に届きやすい形で日本人に馴染みの食材となっている。スケソウダラの速筋タンパクを「4.5g」摂れる目安としては、使われる魚肉がスケソウダラ100%の場合、以下の通りだ。

◆ちくわ……2本(約60g)
◆かにかま……棒タイプで5本 (約62g)
◆白身魚フライ……1個(約60g)
◆スケソウダラのミンチ……約30g

 店頭で、1食当たり4.5g 以上のスケソウダラの速筋タンパクが摂取できる食品の目印になるのが、下の「速筋タンパク」のロゴだ。日本人が持っていた魚を食べる文化を生かし、日本人の健康にもつなげられるのがスケソウダラの速筋タンパクと言えるだろう。


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