コロナが完全収束するまではテレワークを継続する企業も多いが、これがリストラ対象を選定する人事評価に影響を及ぼすという。
「人事評価には『成果評価』と『行動評価』という2つの柱があります。成果評価は、個人ごとの目標達成率などを定量的に数字や実績で評価し、一方の行動評価は後輩の指導やリーダーシップなどを定性的に上司が見て判断します。上司も人の子ですから、朝早くから出社して頑張っている部下や、退社後の飲みに付き合ってくれる部下の評価には情実が入りますし、その評価を狙って上司とのコミュニケーションを取る社員も多い。
しかし、テレワークになると行動評価が難しくなるため、そういうウェットな部分が削ぎ落とされ、成果評価に重きを置くようになっていきます。これまで若い社員に仕事を押し付けて、仕事しているフリをして遊んでいた人も、テレワークになって仕事をしていないことがバレるということもあるでしょう。そういう人に限って、『自分はリストラされるわけがない』、『部長とは休日もゴルフに行っている、自分を見捨てるわけがない』と思っているもの。良くも悪くも、いろいろなことが可視化されていくのです」
日本生産性本部が5月に実施した労働者の意識調査によると、6割以上の人が「在宅勤務で生産性が下がった」と答えたという。上司の監視下で働いている間は良かったが、テレワークになると、自己管理できる人とできない人とで差がついてくる。時代や世の中の変化に柔軟に対応できる企業が生き残るのは言うまでもないが、それは個人の場合も同様だ。