法改正でパソコン作成が認められたのは、自筆証書遺言のなかの「財産目録」だ。
そもそも遺言書は、誰に何を相続させると書かれた「本文」と、不動産や預貯金などの財産を一覧にした財産目録がセットとなる。この目録は、財産が多い場合は複数枚に及び、作成にも手間がかかる。
「手書きだと誤字脱字もあれば、字の癖が強くて解読できないこともあります。最悪の場合、遺言全体が無効になったり、細かなミスによって不動産の相続手続きができない事例もありました。ワープロ打ちならこういったミスも減りますから、遺言を書くハードルが大きく下がります」(中島さん)
そのほかにもメリットは多い。
「手書きの遺言書は記入を間違えると二重線を引いて押印するなどの訂正が面倒なうえ、正しく訂正しないと、遺言書自体が無効になります。不動産や金融資産などを手書きで正確に書くのは結構大変ですが、パソコンで入力できると楽なうえ、間違いを直すのも簡単です。
また今回の法改正では、代理人による財産目録の作成が可能になり、預金通帳や保険証券のコピーなどを添付してもよくなったので、以前よりもかなり作りやすくなりました」(曽根さん)
こうした法改正が、「遺書は自分で書こう」というモチベーションになっている。
※女性セブン2020年7月9日号