これはこれから老年期に向かう中年世代へのメッセージ。溝井さんも中年の頃、実母の晩年の3年ほど介護をしたが、同じ考え方を持った実母とのかかわりは楽だったと振り返る。そして自身の終末についても聞いた。
「若い頃は“子供たちが自立するまでは死ぬわけにはいかない”と思っていました。でもいまは、もういつ死んでもいい。死ぬときに痛い思いをするのは嫌だけど、死ぬこと自体は怖くないです。
私は、死んだらそこでおしまいだと思っているのです。天国や地獄はない(笑い)と。だからお墓も作りません。仏壇と位牌だけ。死んだ後、夫の遺骨と一緒に海洋散骨してもらうよう、すでに夫の骨は粉末にして、子供たちに頼んであります。葬儀業者への積立金も完了して準備万端」
今後はできるだけ最期のときまでひとり暮らしを続けることが目標だという。
「独居が寂しいと思ったことは一度もありません。お友達がよく訪ねて来てくれるのです。50代くらいの人が集まる女子会やツイッター教室をやるときは、手料理でもてなしたり。毎日、結構忙しくて楽しいですよ」
【profile】
溝井喜久子さん/1934年埼玉県生まれ。お茶の水女子大学理学部卒。高校の教員を務めた後、結婚を機に26才で専業主婦に。2010年ツイッターを始め、日々の食事、戦争体験、社会の変遷、嫁姑・高齢者問題などを毎日ツイート。フォロワーは40~50代から同年代まで約9万人。5年前、夫に先立たれていまはひとり暮らし。著書に『何がいいかなんて終わってみないとわかりません。』(KADOKAWA)など。
撮影/菅井淳子
※女性セブン2020年9月3日号