コロナ治療が公費で賄われる一方、「後遺症治療」は自己負担となる。Aさんが続ける。
「4月に退院してから、いまだに嗅覚障害が少し残っており、月1回耳鼻科に通っています。診察と薬代で毎回3000円程度払っている」
新型コロナの後遺症は味覚・嗅覚障害や呼吸器の機能障害などが報告されている。医療経済ジャーナリスト・室井一辰氏の指摘だ。
「呼吸器や味覚・嗅覚だけでなく、精神的・認知機能的な障害が起こる可能性も指摘されており、イギリスの専門家集団は退院後のリハビリ方針を示すべきだとの声明を出しています。リハビリまで含めた後遺症に関する費用負担の問題も検討が必要でしょう」
さらに今後、全額公費負担の原則が変わるかもしれない。
新型コロナは現在、感染症法上の危険度で5段階中2番目に高い「2類相当」と位置づけられている。この分類が、医療費の公費負担の根拠となっている。
ところが、政府は2類相当の緩和を含む見直しの検討を始めた。今後の議論次第では、公費負担の対象から外れる可能性があるため、注視する必要があるだろう。
※週刊ポスト2020年9月11日号