安倍氏は大叔父である佐藤栄作首相の連続在任記録を抜いたものの、佐藤首相の沖縄返還のような歴史に残る政権のレガシー(遺産)を残していない。安倍氏のお膝元である細田派の長老からもこんな声がある。
「安倍首相が『私の内閣で実現する』と約束した憲法改正、北方領土返還、拉致被害者の帰国はいずれも見通しさえ立っていない。
経済政策では日本再興を掲げたが、アベノミクスによる景気拡大は2年前に終わり、過去最長のいざなみ景気(小泉政権)を抜けずに政権の終盤はコロナで日本経済は瀕死の状態になってしまった。その上、せめて花道にしようと1年延期した東京五輪も、開催は危うい状況だ。安倍さんにすれば、レガシーが何も残せないのでは辞めようにも辞めることができないと思っていたんじゃないか」
※週刊ポスト2020年9月11日号