ライフ

在職老齢年金見直しで「長く会社勤めで働く」が賢い選択に

年金をもらいながら働く方法の常識が一変する(時事通信フォト)

 6月5日、年金制度改正法が公布された。表向きは受給者のためになる“改正”という説明がなされているが、実際にはボロボロの年金財政を取り繕いながら、国民が気付かないように「年金はできる限り支給せず、保険料はできる限り取り立てる」という方向へと大きく舵が切られたのだ。

 だが、「年金博士」こと社会保険労務士の北村庄吾氏が「今回の制度変更のなかで唯一の“アメ”」と位置づけるのが在職老齢年金制度の見直しだ。

 これまで、60~64歳に会社で働きながら年金を受け取る場合、給料と年金の合計が月28万円を上回ると超過分の半額の年金がカットされた。月給30万円、年金月額10万円の人であれば、6万円の年金カットとなる。

 それゆえ、“稼ぎすぎると年金が削られる”と考えて、働き方をセーブする人が少なくなかった。それが2022年4月以降はカットとなる基準が給料と年金の合計月47万円へと大幅に緩和される。

 ただ、この制度改正の恩恵に与れる人は極めて限定的だ。

「そもそも60代前半に『特別支給の老齢厚生年金』が受け取れる世代は限られています。男性であれば、1961年4月2日以降に生まれた人は、繰り上げ受給しない限り、60代前半では年金を受け取れない。大半の人にとっては見せかけの“アメ”なのです。

 65歳以降も働き続ける人に対しても、一応の“アメ”はあります。これまで、払った保険料分が年金に上乗せされるのは70歳になった時か退職時だったのが、『在職定時改定』が新設され、在職中でも1年ごとに年金額が再計算されることになった。ただ、これも70歳まで働かせ続けるための“アメ”ととらえられます」(北村氏)

関連キーワード

関連記事

トピックス

前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
中日に移籍後、金髪にした中田翔(時事通信フォト)
中田翔、中日移籍で取り戻しつつある輝き 「常に紳士たれ」の巨人とは“水と油”だったか、立浪監督胴上げの条件は?
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
新たなスタートを切る大谷翔平(時事通信)
大谷翔平、好調キープで「水原事件」はすでに過去のものに? トラブルまでも“大谷のすごさ”を際立たせるための材料となりつつある現実
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン