ピーターの法則とは、能力主義の階層社会において、組織の上層部がやがて無能な人たちだらけになる、というもの。入閣した議員1人1人の能力はそれなりに高くても、大臣になると、その能力を発揮できなくなるばかりか、失言で政権の足を引っ張ってしまう無能な人になってしまった。
そして今回、再び(?)の菅内閣だ。コロナ渦という有事の真っただ中で組閣された内閣の顔ぶれは、党内だけでなくメディアでも「練りに練った人事」「実務家揃い」「専門家を配置」と高評価が続く。安倍政権の継承を掲げた政権だけに留任や横滑り人事も多いが、目玉となったデジタル改革担当大臣にはITに明るい平井卓也氏が抜擢された。パソコンをほとんど触らず、USBが何かも分からない議員が大臣に納まるようなことはないらしい。
振り返れば安倍政権の時も、数々の失言大臣たちが現れては消えていった。9月17日にも、新旧大臣の引き継ぎ式という最後の最後に、北村誠吾前地方創生担当大臣が在職中47都道府県の視察をしたとしたうえで、「相当ほらを吹いてきた」と発言。法則の実例を見せてくれた。某番組の『ナゼそこ?』ではないが、その議員の抜擢を疑問視するしかない閣僚たちの顔ぶれは、まるでピーターの法則に従っていたようだった。
誰が本当に優秀で、誰が大臣として仕事ができるのか、メディアを通して伝えられる情報でしか判断できないため、実際は分からない。組閣の際、派閥人事や当選回数で入閣した人物だと情報番組が伝えれば、「この大臣はそんなものか」という印象で見ることになる。今回は安倍晋三前首相に配慮した人事ということだが、不安視する声はさほど大きくはない。果たして法則に当てはまるのか、逆らうのか、あるコメンテーターが某番組で言うように「菅内閣のお手並み拝見」といこう。