主治医のコンリー医師も治療の経緯や詳細は明かさず(CNP/時事通信フォト)

 医学的、科学的、そして企業活動として、そうした研究や開発が大きな意義を持つのは確かだろう。しかし、アメリカではこれが別の問題を引き起こす。この胎児由来の細胞を使った研究には、キリスト教福音派の一部や保守系団体が猛然と反対しており(つまり「神の領域」を侵す行為だという点で)、かつて共和党のブッシュ大統領(子)は、この細胞を使った研究に大きな規制をかけざるを得なかった。

 そして、トランプ大統領もブッシュ政権と同様に、この研究に対して厳しい規制をかけている。2019年には、中絶によって得られた胎児組織を使用した研究に対する連邦予算からの援助を停止し、「人間の尊厳を高めることは、トランプ政権の最優先課題の一つだ」と、その理由を説明していたのである。

 今回の治療は、自らの命を守るため、政権の方針も支持者への約束も投げ捨てて未認可の新薬に飛びついたということになる。治療が功を奏したとしても、これは政治的には致命傷だ。最大の支持基盤であるキリスト教福音派からは総スカンを食うだろう。

 もちろん筆者は、そのような研究が倫理的、道徳的に良いものか悪いものかを判断する立場ではないし、その知見も足りない。しかし、国民や研究者や企業には倫理を説いて規制をかけ、一方で自分だけは例外で特別枠に置くという行為は政治的に許されないと考える。トランプ氏にとって、天下は天下のためにあり、その天下とは自分自身だというなら、もはや天下人の資格はないのである。

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン