国際情報

トランプは未承認新薬で回復し、支持者はマスクなしで密集

トランプ氏は3日で回復し、国民は21万人以上が死亡した(CNP/時事通信フォト)

 トランプ氏の「コロナ克服パフォーマンス」が支持者を熱狂させている。本人は治験段階の新薬を使う一方、支持者たちはマスクなしで密集させる。その「人間の盾」は、同氏の失政や情報隠蔽への批判を防ぐために犠牲になるのだろうか。ニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏が、アメリカ人の憂いを伝える。

 * * *
「この大統領は自分自身がフェイクだよ!」と電話口で叫んだのは、ニューヨーク郊外の閑静な田舎町に住む長年の友人P氏である。ウォール・ストリートの大手商業銀行に勤めるエリートだ。電話の話題は、トランプ大統領がホワイトハウスで開いた集会について。

 アメリカでは、コロナウイルス感染症の拡大はいまだ減速していない。にもかかわらず、トランプ氏の集会にはマスクも着けない支持者たちが「密」な状態でひしめき合っている。トランプ氏自身もマスクを外し、コロナを克服した強い男であるとアピールして喝采を浴びる。この集会の案内には、わざわざ「マスクを着用しなくてよい」と明記されていた。それが「トランプ支持」の証だとでも言いたげである。J氏が怒るのは、自身の選挙のために、支持者やその周囲の人たちを感染の危険に晒している大統領の無責任さに対してだ。

 ある専門家の推計では、もしコロナ危機の初期からアメリカ国民の95%がマスクを着けていたら、死者数は現在の20%で済んだとされる。しかもトランプ氏は、今年1月の段階で、すでにこのウイルスの恐ろしさを報告されていたにもかかわらず、「インフルエンザより怖くない」と嘘の情報を国民に伝えていたことが暴露されている。

 トランプ氏と熱狂的な支持者たちは、そうした証拠や証言に基づく報道も情報も、ことごとく「フェイクだ」と一蹴してきた。半年余りで21万人以上の命が失われているのに、いまだコロナの恐ろしささえ認めようとしない。トランプ氏は、公の場に現れる時こそマスクを着けるようになったが、演台に立つと、おもむろにマスクを外し、ポケットにしまい込むのである。その動作には、「ほら見ろ、コロナは怖くない。俺は強い」というアピールが込められている。P氏が「大統領こそフェイクだ」というのは、そうした間違った情報を広めるパフォーマンスに我慢ならないからだ。

関連記事

トピックス

NBAレイカーズの試合観戦に訪れた大谷翔平と真美子さん(AFP=時事)
《真美子夫人との誕生日デートが話題》大谷翔平が夫婦まるごと高い好感度を維持できるワケ「腕時計は8万円SEIKO」「誕生日プレゼントは実用性重視」  
NEWSポストセブン
被害者の村上隆一さんの自宅。死因は失血死だった
《売春させ、売り上げが落ちると制裁》宮城・柴田町男性殺害 被害者の長男の妻を頂点とした“売春・美人局グループ”の壮絶手口
NEWSポストセブン
元夫の親友と授かり再婚をした古閑美保(時事通信フォト)
女子ゴルフ・古閑美保が“元夫の親友”と授かり再婚 過去の路上ハグで“略奪愛”疑惑浮上するもきっぱり否定、けじめをつけた上で交際に発展
女性セブン
突然の「非常戒厳」は、国際社会にも衝撃を与えた
韓国・尹錫悦大統領の戒厳令は妻を守るためだったのか「占い師の囁きで大統領府移転を指示」「株価操作」「高級バッグ授受」…噴出する数々の疑惑
女性セブン
12月9日に亡くなった小倉智昭さん
小倉智昭さん、新たながんが見つかる度に口にしていた“初期対応”への後悔 「どうして膀胱を全部取るという選択をしなかったのか…」
女性セブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
無罪判決に涙を流した須藤早貴被告
《紀州のドン・ファン元妻に涙の無罪判決》「真摯に裁判を受けている感じがした」“米津玄師似”の男性裁判員が語った須藤早貴被告の印象 過去公判では被告を「質問攻め」
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン