バイデン氏の人気が高いというわけでもない(AFP=時事)
筆者がアメリカに渡った47年前から、大統領はフォード(共)→カーター(民)→レーガン(共)→ブッシュ(共)→クリントン(民)→ブッシュ(共)→オバマ(民)→トランプ(共)と変遷してきた。ほぼ二大政党が交互に政権を取ってきたのは、アメリカ有権者の良識が働いたためだろう。多くの大統領は、2期目になるとどうしてもイデオロギーに偏る傾向があり、それに危機感を抱く国民が多いのである。トランプ氏については、2期目を任せること自体に有権者の拒否感があるようだ。1期目からあまりにも極端な政策を取りすぎたのである。バイデン氏の人気はイマイチなのに各地で差が開いているのは、有権者の判断が「トランプ以外」に傾いているからだ。
筆者の渡米直前には、ニクソン大統領がウォーターゲート事件で辞任した。そのときは、同じ共和党のゴールドウォーター上院議員が議会を代表してニクソン氏に面会し、「大統領閣下、もはやこれまでです」と引導を渡した。そのような人物がいない今の共和党にも議会にも、国民は失望している。勝者なき大統領選挙が、いよいよ最終局面を迎えている。