「団塊の世代」は自民党総裁と無縁だった
自民党内には当選回数が菅さん以上で、在職年数の長い同世代の議員も何人かいますが、ほとんどの場合、父や祖父が国会議員だった2世、3世。こちらは性格が真逆のおっとり型で、常に厳しい選択を迫られ続ける総理の“器”としては疑問です。
そんななかで菅さんは、叩き上げながら初当選以来8回の選挙をすべて勝ち抜いてきた(今年10月で在職24年)。しかも彼の場合は「巡り合わせ」もありました。昨年、天皇陛下の生前退位という誰も予想しなかった出来事が起き、「令和おじさん」として知名度が一気に上がった。そして今年は安倍さんが病気で突然退陣した。急にチャンスがやってきたんです。
彼がこれまで大変な努力をしてきたことは確かですが、上に行くにはこういう巡り合わせも必要なんです。
「人一倍努力すれば明日がある」。そのことを示してくれた菅総理の誕生に対し、同年齢として私は万感の思いを抱いています。
【プロフィール】
鈴木宗男(すずき・むねお)/1948年北海道足寄郡足寄町生まれ。拓殖大学在学中から中川一郎議員の秘書をつとめ、1983年の衆院選で初当選。北海道・沖縄開発庁長官、内閣官房副長官などを歴任。2002年6月、斡旋収賄他で逮捕される。懲役2年の実刑判決を受け服役後も5年の公民権停止が続き、回復後の2019年7月の参院選で当選。9年ぶりに国政復帰を果たす。
※週刊ポスト2020年11月6・13日号