保健所の指導が入り、感染爆発が起きた要因として、マスクをしていなかったこと、換気が十分でなかったことが指摘された。あの日、鹿児島市内は大雨が降り、裏口の扉を閉め切っていたのだ。
麗奈ママは退院後、入り口と裏口の扉に加え、通気口として新たな窓を設けた。店内に大小合わせて8台の扇風機を設置して換気を促し、飛沫を防ぐためにテーブルにはアクリル板の衝立を置いたほか、ボックス席とボックス席の間をポリプロピレンのカーテンで仕切るなど店内を改装した。
感染爆発からおよそ2か月半後に、スタッフ全員がフェイスシールドを着用して営業を再開したが、最大60人が入る店内は、昨年の今頃と比べ客の入りが9割減。一日に10人の来客があれば良い方だという。
「経営的に苦しいのは当然ですが、鹿児島県のくらし保健福祉部が店内の撮影をして、コロナ対策のモデルケースとして紹介してくださっている。うちの取り組みが拡散されたら、お客様も安心して来やすくなるかもしれないし、他の店も感染対策を徹底することにつながるかもしれない」
ショー内容も変更
クラスター発生からの日々を振り返り、「ママにも葛藤があった」と話したのは、勤続14年目のスタッフ・雅美さん(42)だ。
「ママが入院した日、熱にうなされながら保健所と店名を公表するかどうか話し合った。躊躇したとは思うんです。だけど、足を運んでくださったお客様の心配が第一にあったから、公表を受け入れたんです」
同店を訪れた日は、スタッフ全員が出勤する一方、開店してからしばらくの間、来客は初老の男性と、若い男性の2人組だけ。彼らのためだけに行ったこの日一回目のショー(20分)は、お世辞抜きに圧巻の一言だった。