スポーツ

城之内邦雄氏(80)「今年の巨人はオフなし、練習の虫になれ」

往年の大投手・城之内邦雄氏が語る今の巨人に不足すること

往年の大投手・城之内邦雄氏が語る今の巨人に不足すること

 日本シリーズで2年連続の4連敗という屈辱を受けた巨人。その負けっぷりはあまりに寂しいものだったが、かつての巨人は日本一が当たり前だった。1965年から始まった巨人軍V9の前半を“エースのジョー”として支えた城之内邦雄氏(80)。1984年から20年間、スカウトとしても巨人に貢献してきた往年の大投手が指摘する、今の巨人に足りないものとは。

 * * *
 やはり野球はピッチャー次第。エースの菅野(智之)がホークス打線に力負けしていたのでは、勝ち目はないでしょう。ジャイアンツのピッチャーは球威がないのでコントロールで抑えようとするが、コースを狙い過ぎて小手先で投げている。だから、狙いを絞られ思い切り振られてしまう。中村(晃)に3球続けてスプリットを投げればそりゃホームランを打たれますよ。

 我々の時代は今のパ・リーグと同じで球威を頼りに投げていた。球威の違いは下半身のバネの違いです。こんなこというと“またか”と言われるが、当時はランニングの質と量がまったく違う。

 V9時代は元五輪選手で走りの専門家の鈴木章介さんをコーチに招き、春季キャンプや6月のミニキャンプで走り込んだ。ON(王貞治、長嶋茂雄)ですら調子が悪いと早出して走り込んでいた。ワンちゃん(王貞治)は100m走で14秒かかっていたのが、12秒台で走れるようになったと話していた。投球も打撃も、最後にモノを言うのは下半身の粘りです。

 キャッチャーの質も違った。当時はサイン盗みがあった時代で、金田(正一)さんはノーサインで投げていた。それでもV9時代に正捕手だった森(祇晶)さんは、どんな球をどこに投げても後逸しなかった。

 森さんはドンと真ん中に構え、すり足で少し動く程度でしたが、今の巨人のキャッチャーは内角、外角にドタバタしながら大きく移動して構える。正面で受けないと後逸が怖いからです。でもバッターは気配でコースを絞りやすくなる。

 川上(哲治)監督は森さんにバッティングを求めていなかった。キャッチャーは守りの要としてしっかり働いてくれればそれでいいのです。

 今のジャイアンツでは、大城(卓三)はキャッチングも悪くない。打撃を磨く前に、キャッチャーとして一人前になってもらいたいと思う。

 今年のジャイアンツにオフはない。練習の虫になってほしいですね。

※週刊ポスト2020年12月18日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

令和6年度 各種団体の主な要望と回答【要約版】
【自民党・内部報告書入手】業界に補助金バラ撒き、税制優遇のオンパレード 「国民から召し上げたカネを業界に配っている」と荻原博子氏
週刊ポスト
なかやまきんに君が参加した“謎の妖怪セミナー”とは…
なかやまきんに君が通う“謎の妖怪セミナー”の仰天内容〈悪いことは妖怪のせい〉〈サントリー製品はすべて妖怪〉出演したサントリーのウェブCMは大丈夫か
週刊ポスト
常に全力笑顔の林家つる子
《抜擢で真打ち昇進》林家つる子、コロナ禍でYouTubeに挑戦し「揺るがない何かができた」 サービス精神旺盛な初代・林家三平一門の系譜
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン