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高齢者の「免許返納」の難題 誰がどう説得するのが正解か

「免許返納」へどう導けばよいか(イメージ)

「免許返納」へどう導けばよいか(イメージ)

 傍で見ているとずいぶん危なっかしいのに、老親が運転をやめない──認知機能が衰えた親の運転に気を揉む家族は少なくない。

「10年以上無事故なので“自分はまだ大丈夫”だと思っていました。家族に返納を求められると、反発したくなります。免許を返したら、現役でなくなってしまうような気持ちもあり、返納には後ろ向きになっていました」

 そう語る東京在住の元会社役員男性(79)は昨年、ついに事故を起こしてしまった。自宅マンションの地下駐車場のスロープで、20mもの距離をバンパーを擦りながら運転したのだ。

「この一件で免許返納を決めました。大きな事故になる前でよかった」

 この男性のように、自分の身に何か起きるまで決断できない高齢者は多い。脳神経外科医の朴啓彰氏(高知検診クリニック脳ドックセンター長・高知工科大学客員教授)が語る。

「ただでさえ加齢とともにできないことが増える中、運転ができなくなり社会性を失うことを多くの高齢者が怖れます。さらに家族から『返納しよう』と一方的に迫られると、ますます頑固になります」

 では、どのように親を説得していくのが正解なのか。「客観的に能力の低下を自覚させることが大切」だと、朴氏は続ける。

「脳MRI画像から運転能力に影響を与える脳萎縮や、進行すると脳のネットワークが破壊される白質病変を見せて、免許返納を促すこともあります。

 また、認知症の疑いがある高齢者のリハビリでは、アクセルやブレーキの動作を記録するドライブレコーダーを設置して、記録した映像を高齢ドライバーと一緒に見ながら、運転技術の衰えを指摘します。

 頻繁に一旦停止を怠ったり、車線を間違えたりする場面を見ると、事故のリスクを納得してもらえて、免許返納につながりやすい」

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