肺がん内視鏡手術の様子

肺がん内視鏡手術の様子

 肺がんの初期で、リンパ節などに浸潤していない場合は肺区域切除術が選択される場合もある。これは左右18の区域から、病変に応じて切除区域を決める。通常では区域の境界線が目視できないため、インドシアニングリーン(ICG)を気管支内に注入する。胸腔鏡補助下により、切離予定領域の気管支の末梢側にICGを注入すると切除予定場所が青く染色され、切除箇所が特定でき、肺区域切除が安全に実施可能となる。

「傷が小さいことが低侵襲と思われがちですが、肺がん手術においては出血が少なく、手術時間が短いのが最大の低侵襲手術なのです。そのため私は出血の少ない電気メスを使います。ただし、肺動脈が近いため、電気メスの使用には高い技術と経験が求められますが、手術時間は約90分と通常の半分以下で済み、出血量も通常の10分の1の30cc程度と少なく、5日目には退院できます」(鈴木教授)

 肺がんの手術中は人工呼吸器で圧をかけ、肺に直接空気を送り込む。約3億個の肺胞は大きさも様々なので、一律に圧がかかると小さい肺胞は破裂することもある。これが原因で急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を発症するケースもあり、防止のためにも手術時間の短縮は必須だ。

取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2020年12月18日号

鈴木健司 順天堂大学医学部呼吸器外科学講座教授

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