実はまだ母が元気な頃に、「オムツとか換えられないから寝たきりにならないでね」なんて言っていたこともあるのですが、実際そうなったら、そんなことは言ってられませんよね。最初の頃はオムツの換え方や臭いなどに苦労しましたが、慣れてくると淡々とこなせるようになりました。
そういう介護の具体的な苦労は慣れるのですが、精神的な負担のほうは大きくなっていきました。一生懸命にやっているのに、それが報われないと腹が立ってしまうんです。例えば、「夕飯なに食べる?」と聞いて、「〇〇が食べたい」と言うので、仕事帰りに材料を買って作ったとしても、「うーん、夕飯はいらない」なんてこともあります。本人に悪気はないとわかっているんですが、やってあげた側としては怒りを覚えてしまいますよね。
ですが、やっぱり毎日一緒に生活していると、調子が良くなった時には一緒に喜べるし、悪くなっていく時もずっと自分の目で見ているので、ある意味“腹をくくる”こともできる。在宅介護することで怒りを覚えてしまうこともありますが、母が感謝してくれることもあるので、喜びや充実感を感じています。