ビジネス

再び窮地のアパレル業界 無印、GUが拍車をかける「低価格競争」

2021年のアパレル業界は低価格競争がますます加速する(時事通信フォト)

2021年のアパレル業界は低価格競争がますます加速する(時事通信フォト)

 首都圏で再び発令された緊急事態宣言で、経済に与えるダメージは計り知れないが、飲食業界とともに“コロナ倒産”の拡大が懸念されるアパレル業界は一体どうなってしまうのか。ファッションジャーナリストの南充浩氏が予測する。

 * * *
 新型コロナに始まり新型コロナに終わった2020年──。小売店や百貨店の休業、自粛生活の長期化などもあり苦境に陥ったアパレル業界ですが、2021年はどうなってしまうのでしょうか。神ならぬ身ですから、見通せることは多くはありませんが、確実だと思われることをいくつか挙げてみましょう。

 まず、アパレル業界に限らずコロナによる長期休業や景気低迷で何が起きたかというと、倒産・廃業とリストラの拡大です。倒産や解雇の憂き目に遭わなくても、時短営業による減給やボーナスカットで手取りの減少を経験した会社員、非正規社員も増えました。収入が減った世帯が増えるとどうなるか。衣料品に限らず、低価格志向が強まることになります。

コロナ禍で真っ先に削られる「衣料費」

「ファストファッションは悪だ」「低価格衣料品は悪だ」と見なす人が世間にはいますが、収入が減った人はまず何を考えるのかというと、支出の削減です。しかし、今まで高額な食品ばかりを買っていた家庭以外では食費はあまり削れませんし、子どもの学費や交通費なども大きくは削れません。

 そこで家計の中から真っ先に削減されているのが、衣料品です。衣食住という言葉がありますが、現在の日本社会において「衣」は生活必需品としての性質が薄くなっています。

 多くの人は何か月間も洋服を買わずに生活できるほどの枚数を所有していますし、毎年、毎シーズン、新しい洋服を買うのは「嗜好品」「趣味の商品」として購入しているのです。半年か1年くらいは買わずにいても困らないのですから、真っ先に洋服への支出は減らされることになります。

 そうなると、売れ残りが増えますから、アパレルブランド間の値引き競争が激しくなったり、低価格商品の供給が増えたりすることになります。コロナ禍が続く2021年も低価格ブランドが主導して、価格競争が一層激烈になるでしょう。

関連記事

トピックス

映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
日本初となる薬局で買える大正製薬の内臓脂肪減少薬「アライ」
日本上陸の内臓脂肪減少薬「アライ」 脂肪分解酵素の働きを抑制、摂取した脂肪の約25%が体内に吸収されず、代わりに体内の脂肪を消費
週刊ポスト
専修大サッカー部を辞任していた源平監督(アフロスポーツ)
《「障害者かと思った」と暴言か》専修大サッカー部監督がパワハラ・経理不正疑惑で辞任していた 大学は「警察に相談している」と回答
NEWSポストセブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
日本製鉄によるUSスチールの買収計画
【日本製鉄のUSスチール買収問題】バイデンもトランプも否定的だが「選挙中の発言に一喜一憂すべきではない」元経産官僚が読み解く
NEWSポストセブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン