各一門が抱える「年寄株」の火種
「株は105しかないので、再雇用の親方が増えるほど引退力士の“争奪戦”が激しくなる。高く買ってくれる力士が見つかると再雇用の親方が70歳を待たずに退職していくという構図だ。
定年後再雇用は“院政”にもつながる。最近はタニマチ不足で大きな資金を集められず、既存の部屋を借りて家賃を払うかたちが多くなっている。大鵬部屋を引き継いだ大嶽親方(元十両・大竜)もそうで、建物のなかには自室がなく、親方夫妻は近所のマンションから部屋に通っている。大嶽部屋に入門した3人の大鵬親方の孫のいずれかが部屋を継承することになる」(協会関係者)
別掲図のように、継承や一門同士の奪い合いで“火種”となることが懸念される株は少なくない。なぜ不透明な制度が温存されるのか相撲協会に問うたが、回答はなかった。
「国技」を守る公益法人として、相応しい姿なのだろうか。
※週刊ポスト2021年1月15・22日号