中国系の人が多いシンガポールも、春節を大切にしている。ここでは、「魚生」という野菜と刺身のサラダを食べるのが一般的だ。鮭の刺身を中心に、にんじん、大根、レタスなどの野菜を皿に盛りつけ、願い事をしながら箸でかき混ぜて食べる。
「箸で混ぜる際に高く掲げるほど幸せが訪れるといわれているので、立ち上がって『ローヘイ(運気が上がる)』と言いながら、食材を持ち上げては落とします。テーブルはぐちゃぐちゃになりますが、シンガポールでは、毎年あちこちの家庭で楽しみながら食べています」
これは比較的新しい料理で、彩りが豊かなのが特徴だ。
「抗酸化作用の高い白ごまには“仕事運アップ、商売繁盛”、ビタミンCの豊富な柑橘系の果物には“大吉大利(幸運が訪れて繁盛する)”という意味があります。栄養的にもバランスの取れた料理なので、健康と美容の両方に効果が期待できるでしょう」
一方、北欧やドイツ、ポーランドでは、年明けの瞬間ににしんを食べると、その年を豊かに過ごすことができるといわれている。冬に豊富にとれることから富の象徴とされ、身が銀色に光る様子が銀貨に見えるのも理由の1つだ。薬剤師資格を持つ料理研究家の吉田三和子さんが話す。
「にしんはカルシウムが豊富で、骨粗しょう症の予防効果が期待できます。また、コレステロール値を下げて高脂血症を防ぐEPAも豊富。高齢者の健康につながる栄養成分が豊富なので、長寿を願ってにしんを食べるのは、理にかなっています」
※女性セブン2021年1月28日号