国内

小4交通事故死 現場から30分の病院搬送は「たらい回し」だったのか

献花台を見た父は、「光太のことを悼んでくれる人が多くてよかった」とだけつぶやいた

献花台を見た父は、「光太のことを悼んでくれる人が多くてよかった」とだけつぶやいた

「こうた! こうた!」。1月3日の夜、閑静な住宅街に息子の名前を叫ぶ母親の声が響き渡った──。

 その日、東京・世田谷区で、近所に住む小学4年生の三村光太くん(9才)は、2才の弟を乗せたベビーカーを押しながら、青信号で横断歩道を渡っていた。その刹那、光太くんに左折してきたポルシェが突っ込んだ。ベビーカーの弟と、後ろを歩いていた母親ともう1人の弟(8才)は無事だったが、光太くんは帰らぬ人となった。

「光太くんは明るく活発で、友達も多くてクラスの人気者でした。弟たちの面倒見もよくて、小さい弟が乗るベビーカーを押す姿をよく見かけていたのに……」(近隣住民)

 光太くんの父親が、無念さを滲ませながら明かす。

「私は一緒にいなかったのですが、事故の発生後すぐに駆けつけました。光太はベビーカーを押して先に横断歩道を渡り、少し後ろを歩く妻と次男に手を振りたかったと思うんです。いつもこうして、私たちを楽しませてくれていた。いつも通りの行動だったんです。それなのに車が……運転手が衝突後も停止せずに車を動かしたせいで、2回も轢かれてしまったんです」

 死因はタイヤで圧迫されたことによる内臓損傷だった。光太くんの父親が続ける。

「ベビーカーに乗せていたいちばん下の弟をとてもかわいがっていて、本当によく面倒を見てくれていました。残っている写真も、いちばん下の弟を抱っこしている写真ばかりなんです……。まだ9才ですよ。亡くなった1週間後の1月11日は10才の誕生日だったんです。“ハーフ成人式”で写真を撮る予定だった。悔しい、悔しい……加害者を許せません」

 ポルシェを運転していた神奈川県藤沢市在住の自営業・和三恵太容疑者(45才)は、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで現行犯逮捕された。和三容疑者の自宅は、豪邸が立ち並ぶ湘南の住宅街にある。

「あのお宅は数年前に引っ越してきたばかりで、表札も出ていないんです。ほとんど近所づきあいもなく名前も職業も知りませんでした。家族は奥さんと男の子がひとり。小学3~4年生くらいで、ちょうど亡くなった子と同じくらいですよ」(近隣住民)

 光太くんは事故翌日の午前中、搬送先の病院で息を引き取った。

 今回の事故は和三容疑者の確認不充分が招いた最悪の事故であるが、同時に注目されたのが搬送先だ。事故現場から車で5分の距離には国立病院があるにもかかわらず、搬送されたのは車で30分の品川区にある大学病院だった。

「東京はコロナ感染者数が爆発的に増えていた時期で、救急患者の受け入れを拒否している病院もあった。光太くんは、たらい回しにされたのではないかという見方もあり、大きく報道されたのです」(全国紙社会部記者)

関連記事

トピックス

エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
昨秋からはオーストラリアを拠点に練習を重ねてきた池江璃花子(時事通信フォト)
【パリ五輪でのメダル獲得に向けて】池江璃花子、オーストラリア生活を支える相方は元“長友佑都の専属シェフ”
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
NEWSポストセブン