疲労すると唾液中に増えるヒトヘルペスウイルス(HHV-6)
研究により、生理的疲労になると子供の頃に感染し、細胞内で潜伏しているHHV-6とHHV-7が反応して増殖、唾液中に出てくることが判明した。そこで唾液をPCR検査し、HHV-6とHHV-7の数を調べることにより、客観的疲労数値の計測が可能となった。
「会社の健診などで、疲労を検査する場合、唾液のPCR検査とともに問診とVAS(自身で疲労度を示す)の検査を実施するのが理想です。というのも、唾液中のHHV-6とHHV-7の数値が低いのに、VASで高い数値(強い疲労感)を示した方は病的疲労が疑われるからです。病的疲労で、うつ病が一番頻度が高いことから、早期発見にもつながります」(近藤教授)
身体を守る3大生体アラームは痛み、発熱、疲労だ。痛みと発熱のメカニズムと回復因子は解明されているが疲労は不明だった。
それが近年、炎症性サイトカインが脳に作用し、疲労感を発生させることが判明。運動でも炎症性サイトカインが産生されるという──。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2021年1月29日号
近藤一博 東京慈恵会医科大学ウイルス学講座教授