ライフ

危険性が指摘される多剤併用 それでもやめられない3つの理由

(写真/Getty Images)

危険性が指摘される多剤併用(写真/Getty Images)

 緊急事態宣言の延長が宣言され、コロナ騒動が収まる気配は無いが、不可思議に思えるデータが関係者の間で話題になっている。1月19日に発表された厚労省の人口動態統計速報によると、昨年1~11月の死者は約125万人で、前年同期比で約1万5000人も減少。第3波で12月に新型コロナの死者が急増したものの、年間を通しての死者数は11年ぶりに前年を下回るとみられているのだ。

 死者が減った理由の1つとして考えられるのが、コロナ感染を恐れた「受診控え」だ。病院に行けば、ほかの患者からウイルスや菌をもらうリスクがあり、さらに病院に行くことによって他人に感染させる恐れがある。自粛生活で病院に行く機会が減ったことで、病気になる人も減った可能性があるのだ。

 さらに、死者が減った要因として、「多剤併用の改善」の影響を指摘する声もある。多剤併用とは、ひとりの患者が多くの薬を服用することを指す。

 そもそも日本の高齢者は薬をのみすぎるといわれる。厚労省によると、65才から74才の約30%が5種類以上の薬を処方されており、75才以上になると約40%の人が5種類以上の薬を処方されていた。『医者に殺されない47の心得』の著者で、医師の近藤誠さんは、多剤併用の危険性を指摘する。

「すべての薬には副作用があります。少量や短期間の服用なら肝臓や腎臓が毒素を処理しますが、多剤併用が習慣化すると、副作用が生じる可能性が高くなります」

 5種類以上の薬をのむ高齢者の4割にふらつきや転倒が生じたというデータがある。軽微な副作用だけでなく、寝たきりになったり、認知機能が低下して認知症と診断されるケースも報告される。80代の母親を持つ都内在住の50代女性が語る。

「母は狭心症や不眠症、うつなどが重なって1日12種類の薬を服用し、ふらついて転倒して寝たきりになりました。その後、担当になった医師から『薬が多いからではないか』と言われて睡眠薬などを段階的に減らすと、ひと月ほどしたら自力で歩けるようになりました。薬は体にいいものと思い込んでいたので、薬のせいで症状が悪くなるなんて本当に驚きました」

 近藤さんが指摘する。

「抗うつ剤や抗不安剤の多剤併用で、逆にうつ状態がひどくなることが知られています。私は常々患者に『一度に5種類以上の薬をのむことは極めて危険です』と伝え、何種類も服用してふらつきや体調不良がある場合は断薬をアドバイスします。すると薬効がなだらかに下降して、ほぼ全員の体調が好転します」

 危険性が指摘されながら多剤併用が続くのは3つの理由からだと近藤さんが語る。

関連キーワード

関連記事

トピックス

【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
どんな演技も積極的にこなす吉高由里子
吉高由里子、魅惑的なシーンが多い『光る君へ』も気合十分 クランクアップ後に結婚か、その後“長いお休み”へ
女性セブン
『教場』では木村拓哉から演技指導を受けた堀田真由
【日曜劇場に出演中】堀田真由、『教場』では木村拓哉から細かい演技指導を受ける 珍しい光景にスタッフは驚き
週刊ポスト
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
各局が奪い合う演技派女優筆頭の松本まりか
『ミス・ターゲット』で地上波初主演の松本まりか メイクやスタイリングに一切の妥協なし、髪が燃えても台詞を続けるプロ根性
週刊ポスト
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン