「選択肢」の重要性
この「困っている当事者が、なんとなく手を出せない」という現状を問題視するのが、「性の話をもっと気軽にオープンに」をコンセプトに掲げる“性教育YouTuber”シオリーヌこと大貫詩織さんだ。
「低用量ピルという選択肢をそもそも知らないのと、知ったうえで選ばないのとでは大きく違います。『もっと早くに知っていれば……』と後悔する人を減らすためにも、低用量ピルを内服するという選択肢があることを教育の段階で全ての人に伝えていくことが必要だと感じています。
低用量ピルを内服すると妊娠しにくくなる、低用量ピルは性に奔放な人が使う薬であるといった誤解がまだまだ社会には溢れています。また、低用量ピルを内服するためには婦人科への受診が必要であることも、多くの人がハードルを感じる要因のひとつだと言えます。
低用量ピルはどういった効果をもたらす選択肢なのか? 婦人科とはどんな場所で、受診すると、どんな検査をする可能性があるのか? そうした適切な情報提供を十分に行っていくことが、ピルに対するハードルを下げることにつながるのではないでしょうか。その一助になればという思いで、私もYouTubeでの動画配信をこれからも続けていきたいと思っています」(大貫さん)
女性プロデューサーなども増えてきたとはいえ、芸能界は依然として男性中心社会だ。そのため、女性ならではの困りごとに周囲の人々が気づけない場面もあるのだろう。ピルに対する認知を高めつつ、「女性芸能人が働く環境」自体を整えることも大切なのかもしれない。
◆取材・文/原田イチボ(HEW)