芸能

コロナ苦境の映画界 黒澤明が生きていたらどんな映画で勇気づけたか

黒澤作品のようなスケールの大きな映画も観たい…(写真/AFP=時事)

黒澤作品のようなスケールの大きな映画も観たい…(写真/AFP=時事)

 新型コロナウイルス騒動により、政治や経済のみならず、エンターテインメント界にまで停滞感や閉塞感が漂っている。ノスタルジーに浸るつもりはないが、昭和の日本映画界を築いた黒澤明氏が今の時代に生きていたら、このコロナ禍をどう乗り切っただろうか──。元東映惹句師の関根忠郎氏が黒澤氏の功績を振り返りながら想像した。

 * * *
 コロナ前まで、日本映画はシネコンも含めて年間約600本が劇場公開されてきました。しかし、コロナによる自粛や入場制限によって製作本数が激減し、客足も遠のいてしまいました。

 その一方で、巣籠もり需要もあいまって、動画配信サービスによって映画を視聴する人が増え続けています。

 デジタル技術を駆使して安価に映像が作れるため、いろいろな人が映画作りに参入でき、世界中の人に届けられるようになりました。それは良い面もありますが、スケールの大きな、リアルな作品が生まれにくくなってしまった。

 もしこの時代に黒澤明監督がいたら、リアルな時代劇巨編で世間をアッと言わせたのではないでしょうか。

 黒澤監督の時代劇は、当時、主流だった優雅なチャンバラ劇を見事に吹き飛ばしました。東映時代劇の立ち回りはまるで日本舞踊のようにきらびやかで、斬られても血しぶきは見せなかった。

 ところが黒澤映画では、凄まじいほどの血しぶきを上げて倒れていく。『七人の侍』では薄汚れた野武士たちと農民たちが豪雨の中で壮絶な戦闘を繰り広げますが、その演出は8台のカメラによる同時撮影という映画史上最大のスケールでした。

 コロナという災害は、『七人の侍』になぞらえれば、農民を襲う群盗のようであり、略奪を恐れる農民の姿は、“自粛せよ”と言われ、分断されて息苦しい生活を送っている私たちと重なるところがあります。

関連記事

トピックス

体調を見極めながらの公務へのお出ましだという(4月、東京・清瀬市。写真/JMPA)
体調不調が長引く紀子さま、宮内庁病院は「1500万円分の薬」を購入 “皇室のかかりつけ医”に炎症性腸疾患のスペシャリストが着任
女性セブン
(公式HPより)
《確信犯?偶然?》山下智久主演『ブルーモーメント』は『コード・ブルー』と多くの共通点 どこか似ていてどこが似てないのか
NEWSポストセブン
タイトルを狙うライバルたちが続々登場(共同通信社)
藤井聡太八冠に闘志を燃やす同世代棋士たちの包囲網 「大泣きさせた因縁の同級生」「宣戦布告した最年少プロ棋士」…“逆襲”に沸く将棋界
女性セブン
学習院初等科時代から山本さん(右)と共にチェロを演奏され来た(写真は2017年4月、東京・豊島区。写真/JMPA)
愛子さま、早逝の親友チェリストの「追悼コンサート」をご鑑賞 ステージには木村拓哉の長女Cocomiの姿
女性セブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
睡眠研究の第一人者、柳沢正史教授
ノーベル賞候補となった研究者に訊いた“睡眠の謎”「自称ショートスリーパーの99%以上はただの寝不足です」
週刊ポスト
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
公式X(旧Twitter)アカウントを開設した氷川きよし(インスタグラムより)
《再始動》事務所独立の氷川きよしが公式Xアカウントを開設 芸名は継続の裏で手放した「過去」
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
女性セブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
「ホテルやネカフェを転々」NHK・林田理沙アナ、一般男性と離婚していた「局内でも心配の声あがる」
NEWSポストセブン
猛追するブチギレ男性店員を止める女性スタッフ
《逆カスハラ》「おい、表出ろ!」マクドナルド柏店のブチギレ男性店員はマネージャー「ヤバいのがいると言われていた」騒動の一部始終
NEWSポストセブン