私は『七人の侍』を中学生の頃に観ましたが、名優・志村喬さん演じる侍が「己のことばかり考える奴は己をも滅ぼす奴だ。仲間を守ってこそ自分を守れるのだ」と、農民に連帯を訴えるシーンが忘れられません。
オリジナル脚本をとことん練り上げる黒澤監督なら、令和版『七人の侍』を作り、このコロナ禍に必要なメッセージを届けてくれたのではないでしょうか。
今の時代、リスクを嫌う映画会社が社運をかけるような大作は“世界のクロサワ”でなければできません。
黒澤監督が錚々たるキャストを集めて、どれほどダイナミックな映像表現を作り上げるのか、どんな「鬼の黒澤演出」を見せてくれるのか。想像するだけでもワクワクします。
※週刊ポスト2021年2月26日・3月5日号