靴の影響と同時にキロ2分台中盤のスピード練習導入も奏功した川内。フォームもさらに洗練された(時事通信フォト)
今回のアシックス製厚底は、まだ発売前。川内選手はアドバイザリースタッフとして効果を“実証”するための使用だった。結果が出たことを受け、当然、一般発売を期待する声が出る。東京五輪でも選手が履き、それを見てモチベーションにしつつ同じ靴でランニング──と思いきや、そうはならない。今回のシューズは世界陸連(WA)に「開発中の靴(Development Shoe)」として登録されているものだからだ。
「規定上『開発中』では、五輪などの世界レベルの大会で使用できません。昨年、厚底禁止論争が起きた際に、そうした大会での使用には4か月以上『市販されていること』が必須条件となったためです。
一方で、五輪で有名選手が使用してくれるといった“大宣伝”なしで市場に投下するのはメーカーにとって勇気が要ること。そうなると、少量しか出回らない可能性があります」(前出のスポーツジャーナリスト)
いつ一般に販売されるのか。アシックスに聞いた。
「現在は国内外の選手に試してもらっている段階です。東京五輪開催に間に合うように発売するかどうかは申し上げられないのですが、近いタイミングで発表できればと思っています」(アシックス広報担当)
国産シューズのファンにとっては、待望となる製品がいつ登場するか、やきもきする日々が続きそうだ。しかし、それを履くだけで簡単にタイムが伸びるわけではない。地団駄ではなく、しっかりと大地を踏みしめて(走り込んで)、待つしかない。