大栄翔(時事通信フォト)

大栄翔(時事通信フォト)

市川:小兵力士が受け身ではなく、自分から技をかけられている……面白いです。

安治川:今場所は研究されるでしょうが、それでも決めないと上には上がれません。相手の中に入る方法を増やしていければと思います。

市川:最後に、今場所の優勝候補は?

安治川:安定感では照ノ富士です。四つ相撲を取る相手にはほぼ負けないし、大栄翔、貴景勝とか膝に負担がかかる苦手なタイプを攻略できれば可能性はある。彼は廻しを取りたい思いが強いので、それよりどっしり受け止めろとアドバイスしています。あとは明瀬山かな。

市川:先場所の明瀬山関躍進の要因は? 親方は対戦経験もあると思いますが。

安治川:腰を振ったり差しにいったりとか、相撲が巧いんですよ。丁寧にとらなければ難しい相手です。見た目に騙されるけど。

市川:ベテランが頑張ると盛り上がりますよね。

安治川:僕も知らない中年男性から「元気もらってます!」とか言われて、重ねられてもなあって思ってましたけど(苦笑)。とにかく、今場所も色んなタイプの力士に頑張ってほしいです。

【プロフィール】
安美錦竜児(あみにしき・りゅうじ)/1978年生まれ。青森県出身。最高位は東関脇。生涯戦績は907勝908敗。三賞受賞は技能賞6回を含む12回。金星は8個に上る。多彩な取り口が魅力で、繰り出した決まり手は45。引退後は年寄「安治川」を襲名し、部屋付き親方として後進の育成に携わる。2022年5月に断髪式を行なう。

【プロフィール】
市川紗椰(いちかわ・さや)/1987年2月14日生まれ。愛知県出身、米国・デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。身長168cm。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』(集英社刊)が好評発売中。

取材/鵜飼克郎 撮影/藤岡雅樹

※週刊ポスト2021年3月19・26日号

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