さまざまな困難に立ち向かった須江監督

仙台育英・須江監督

 選手宣誓の大役を務める島貫主将も、小学生だった10年前に実家のある福島で被災し、中学教師である父を福島に残して、山形に疎開した経験を持つ。福島ではソフトボール部に入っていたが、疎開先では野球を始め、半年後、福島に戻ると再びソフトボール部に在籍した。島貫主将が話す。
 
「ずっと父とキャッチボールをしていたので、(山形にいる間は)それができなかったのがつらかったです。今年の選手宣誓文を考えていくなかでは、創志学園の野山キャプテンの言葉を入れてみたり、その翌年の選抜で選手宣誓をした石巻工業(宮城)の阿部翔人キャプテン(当時)の『人は誰でも、答えのない悲しみを受け入れることは、苦しくてつらいことです』という一文から言葉を引用させてもらったり。10年前、9年前にそういう選手宣誓があったということを思い出しながら、自分たちの選手宣誓を完成させていきました。中身? それは内緒です(笑)。10年の時間の中で、いろんな学びが多くあったということを伝えたいと思っています」

 島貫主将は小学生時代や中学生時代にも選手宣誓の経験があるという。生まれながらのリーダータイプなのだろう。出来上がった宣誓文に対して、須江監督が赤ペンを入れることはなかったという。

「口出しもしません。本当は国語の先生にチェックしてもらおうと思っていたんですけど、島貫が宣誓文に入れたい言葉を箇条書きにした段階で、ストーリーができあがっていたし、草案の段階でも85点ぐらいはあげられる宣誓文ができていたので」

 今大会から1週間に500球という球数制限が導入される。東北勢初の甲子園制覇を目指す須江監督は1回戦から2回戦までの日程が長く、スケジュールに余裕のある初日の試合を狙っていたという。仙台育英は第2試合で、試合巧者の明徳義塾と対戦する。

「正直、対戦相手はどこでも良かった。心配しているのは……選手宣誓を無事に終えられるかどうかだけです(笑)」

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