1995年は、オープン戦と公式戦の成績が最も比例しない年だった。3年前に亀山努、新庄剛志の『亀新フィーバー』や仲田幸司の開花などで2位に躍進した阪神はその後、2年連続4位。6年目を迎えた中村勝広監督は開幕ダッシュで勢いに乗り、10年ぶりの優勝を目論んでいた。オープン戦では新外国人のクールボーが6本塁打、17打点で二冠王に輝き、グレンも5本塁打と活躍。阪神が大の苦手にしていた巨人の斎藤雅樹から2人ともホームランを放つなど、希望の星となった。
しかし、オープン戦で対策を練られたのか、開幕すると当たりが止まり、打線は開幕2カードの5試合、全て2点以下で5連敗。この間、グレンは2割5分、1本塁打、クールボーは1割9分、ノーアーチと精彩を欠いた。2人は徐々に調子を取り戻し、最終的にはグレンが2割5分6厘、23本、77打点、クールボーが2割7分8厘、22本、77打点と及第点の成績を残した。
ただ、4年連続3割を打っていたオマリーを解雇してまで獲得した選手だったため、ファンは物足りなさを感じた。ヤクルトに移籍したオマリーは3割2厘、31本塁打、87打点でチームを優勝に導き、MVPに輝いた。夢を抱かせたオープン戦の絶好調とオマリーの活躍があったため、グレンとクールボーの成績は数字以上に低く見えてしまった。中村監督は不振の責任を取って、7月下旬に休養。オープン戦Vの時点では想像もできなかった結末を迎えた。
これらの年に限ったことではないが、外国人打者の成績はチームの前途を左右する。今年は来日2年目のサンズ、3年目のマルテが開幕オーダーに名を連ねるだろう。新外国人ではないため、過度な期待を掛けられない分、昨年よりも気楽に臨めるはずだ。新人の佐藤へのマークを散らすためにも、中軸を担う2人の打棒が開幕ダッシュのキーポイントになりそうだ。