国内

安価の「ニセモノのピル」が大量流通 密造品を確認するすべはなし

aa

ネットで簡単に変える安価なピルには落とし穴も…(写真/GettyImages)

 病院で処方箋をもらうにはちょっとしたハードルが高いということで、インターネットやリモート診療で「ピル」を手に入れる女性も多い。しかし、そんな状況に、思わぬ落とし穴が指摘されている。

「生理が重いので、『低用量ピル』を服用して対処してきました。これまでは産婦人科に通っていましたが、コロナ禍を機にインターネット購入に変えてみたんです。楽だし、安いし。でも、届いた商品には、これまでのパッケージと違って、外国の文字が並んでいて……。少し不安です」(30代女性)

 ピルは大きく分けて2種類ある。低用量ピルと、避妊に失敗したときに服用する『アフターピル(緊急避妊薬)』だ。避妊薬として使われることがほとんどだった低用量ピルだが、近年は月経にまつわるトラブルを改善させる目的で服用する女性も増えている。

「低用量ピルをのむとホルモンの量や変動が抑えられて排卵が抑制されるため、避妊効果が得られます。また、排卵後のホルモン量の変動により引き起こされると考えられている月経前症候群(PMS)の症状が緩和されます。

 ほかにも、子宮内膜が厚くならず経血量が軽減される、子宮内膜から生産される痛み物質が減少するため月経痛が改善されるなどの効果があり、『のんだら生理が劇的に楽になった』という女性は多い」(ナビタスクリニック内科医の山本佳奈さん)

 低用量ピルが日本で発売されたのは1999年のこと。それから20年余りだが、日本の服用率は約3%にとどまる。「普及が進まない理由は2つ」と山本さんが解説する。

「1つ目は、低用量ピルもアフターピルもどちらも市販されていないことです。通院し、医師の診察を受けて処方箋をもらわなければいけないので、入手のハードルが高い。性暴力などから女性の体を守るため、政府は昨年末、第5次男女共同参画基本計画に、処方箋がなくてもアフターピルを薬局で入手できる仕組みの検討を盛り込みました。しかし、反対の声が多く、先行きは不透明です。

 2つ目は、価格が高すぎること。一部、子宮内膜症や月経困難症など持病があれば保険適用ですが、それ以外は自由診療となるため自費。低用量ピルはひと月分で2500円前後、アフターピルは1回で6000~2万円程度と高額です。海外だと、どちらのピルも市販されているうえ、価格は日本よりも断然安い。たとえばタイでは、低用量ピルが100~1500円程度、アフターピルは150~300円程度で手に入ります」

 日本では、手に入りにくいうえに高額なピル。冒頭の女性のようにインターネットで購入する人が出てくるのも当然だろう。インターネットでピルを処方するサービス「スマルナ」を運営する薬剤師の石井健一さんが警鐘を鳴らす。

「現在、日本では未承認の海外製のピルが少なくない規模で流通しています。『簡単に入手できるから』『安いから』という理由だけで安易に購入すると、取り返しのつかないことになる可能性があります」

 日本の厚労省が安全性と効果を確認して承認したピルではない「ニセモノのピル」には危険性が潜んでいる——。

関連記事

トピックス

5月8日、報道を受けて、取材に応じる日本維新の会の中条きよし参議院議員(時事通信フォト)
「高利貸し」疑惑に反論の中条きよし議員 「金利60%で1000万円」契約書が物語る“義理人情”とは思えない貸し付けの実態
NEWSポストセブン
殺害された宝島さん夫婦の長女内縁関係にある関根容疑者(時事通信フォト)
【むかつくっすよ】那須2遺体の首謀者・関根誠端容疑者 近隣ともトラブル「殴っておけば…」 長女内縁の夫が被害夫婦に近づいた理由
NEWSポストセブン
曙と真剣交際していたが婚約破棄になった相原勇
《曙さん訃報後ブログ更新が途絶えて》元婚約者・相原勇、沈黙の背景に「わたしの人生を生きる」7年前の“電撃和解”
NEWSポストセブン
なかやまきんに君が参加した“謎の妖怪セミナー”とは…
なかやまきんに君が通う“謎の妖怪セミナー”の仰天内容〈悪いことは妖怪のせい〉〈サントリー製品はすべて妖怪〉出演したサントリーのウェブCMは大丈夫か
週刊ポスト
令和6年度 各種団体の主な要望と回答【要約版】
【自民党・内部報告書入手】業界に補助金バラ撒き、税制優遇のオンパレード 「国民から召し上げたカネを業界に配っている」と荻原博子氏
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン