いまや邪魔な存在の「アクティビスト」
東芝の株主に占めるアクティビストの比率は3割前後と言われている。これほど多いのは2015年の不正会計処理問題に原因がある。
東芝が7年間で2248億円の利益の水増しをしていたことが明らかになり、同年7月には歴代3社長が辞任。さらに2016年12月に米原子力発電子会社ウエスチングハウスで巨額損失が発覚、2017年8月には債務超過で東証2部に降格した。
東証には、債務超過が2期連続したら上場廃止になるというルールがある。上場廃止は企業にとって屈辱だ。名門企業である東芝としてはそれだけは避けたい。そこで2017年12月、6000億円の第三者割当増資を行う。これに応じたのがアクティビストたちだった。
当時、東芝の再建は保証されていなかった。その会社の増資に応じるのは、一癖も二癖もある株主ばかり。それでも東芝は上場にこだわった。背に腹は変えられず。アクティビストを受け入れた。おかげで東芝は上場を維持でき、今年1月には東証1部に復帰している。
こうした経緯を考えれば、アクティビストがさまざまな要求を突き付けてくるのは当然ともいえる。しかし、経営陣にとっては経営の手足を縛られることにつながるし、その交渉に労力を割いていては経営に集中できない。
過去の経緯はともかく、再建がある程度順調に進み、経営危機が去った今、アクティビストは邪魔な存在でしかない。こうした状況を考えると、今後東芝が、彼らを排除するため、CVCの提案に乗る可能性は十分にある。