ユーミンの衣装にはヒッピー少女のこだわりも感じられる(共同)
中島みゆきには「スイッチがある」と回想するのは、元ニッポン放送のアナウンサーで現在はフリーの上柳昌彦氏。上柳氏は『オールナイトニッポン』のパーソナリティを務めていた頃に、やはりパーソナリティだった中島と出会う。
「初めて会った頃、赤いトレーナーに赤いメガネをかけていたのが印象的ですね。勝手に黒い服のイメージを抱いていたので(笑)。『赤が好き』とうかがったこともあります。中島さんにはスイッチがあるんだと思うことがありました。例えばオールナイトニッポンのパーソナリティでも、南こうせつさんは本番前には本番でするつもりの話をスタッフに聞かせて笑わせているし、タモリさんは『うーっす』とスタジオに入ってきて、そのまま普通のテンションで番組を進行する。では中島さんはというと、放送前にスタジオに一人で入って、リスナーのハガキを一つ一つ静かに読んでいるんです。それが時間になって番組がスタートした瞬間、いきなりあのハイテンションになるんです。
彼女は歌でも、曲によってはシャウトして歌い上げたり、少女のような可憐な声で歌ったりしますが、ある時、それをどうやって切り替えているのか聞いたことがあるんです。そうしたら、『曲を作ってスタジオ入りして、せーの!で出てきたもの』というんです。だからきっと、ラジオでのハイテンションも、初めてやった時に自然に出てきたスタイルなんだろうなと思っています」
ユーミンも中島みゆきも、自分の舞台や音楽を細かいところまで自身でこだわって作り上げる点は共通している。半世紀も歌い続け、歌い継がれてきた二人の天才は、令和の世でも輝き続けている。