国内

緊急事態宣言でも3密が続々 闇営業する飲食店に都内から来訪も

自粛呼びかけに皆が飽きてしまった?(時事通信フォト)

自粛呼びかけに皆が飽きてしまった?(時事通信フォト)

 東京都、京都府、大阪府、兵庫県から始まった3回目の緊急事態宣言は、愛知県、福岡県へと広がり、北海道、岡山県、広島県へと適用地域を増やしていき、もう全国で発令してほしいという声も上がっている。ところが、この措置は期待通りの効果をあげられていない。一年前の緊急事態宣言時とは異なり、通勤ラッシュは消えず、闇営業は「闇」ではなくなり、様々な「3密」が各地で出現した。ライターの森鷹久氏が、三度目の緊急事態宣言下で起きた「3密」トラブルの変化についてレポートする。

 * * *
 3回目の緊急事態宣言突入にあわせ、首都圏のJR線は「減便」や「終電時間の繰上げ」を実施した。こうした策を鉄道会社が打ち出すことで、人出を抑制する狙いがあったというが、朝の通勤時間帯には各線のターミナル駅などで混雑が発生。駅や電車内はコロナ禍以前のような「ラッシュ」状態になり、もはや政府や都の要請が国民にほとんど届いていないという実態が、白日の元に晒された格好となった。

 この一件は、テレビのワイドショーでも積極的に取り上げられ、SNS上にはJRがとった対策を批判するコメントが相次いだ。だが、同じような経緯で大混雑に陥っていた場所は、他にも複数あった。

「自治体からの時短営業要請を無視して営業する店が増え出しました。まあ、闇営業ですよね。かつて闇営業の店はバッシングの対象でしたが、次第に闇営業店に人が集まりだし、かなり密状態になっていたんです。その繁盛ぶりを知った、それまで要請に従っていた他の店の経営者が、うちも開けよう、となったんです」

 細井あかりさん(仮名・40代)が千葉県某市で経営する飲食店の周囲の店も、前述のような経緯を経て5月初旬から通常営業を再開。付近には同じような店が他にも4~5件あり、人出が戻ってきているという。

「飲食は黙って、お酒もダメ、家から出るな、それで補償もあってないようなもの。これまでは私たち飲食店が我慢していれば良かったが、お客さんの我慢も限界。私たちも限界。正直、お店にはすごい数のお客さんが来てくれて、都内からやってくる人もいる。密だなんだと言われますけどね、もう、要請なんて誰も聞かないですよ」(細井さん)

 細井さん自身は、高齢で呼吸器系の基礎疾患がある家族がいるため、営業の再開には慎重な姿勢だが、この状態があと一ヶ月も続けば、やむを得ない選択をするしかないとため息を漏らす。一方で気がついたのは、緊急事態宣言も3度目となれば、もはや「緊急事態感」を感じている人など、ほとんどいないということ。1度目、2度目の緊急自体宣言下で営業を続けている店へのバッシングは、貼り紙を貼られたり、クレーマーが店にやってきたり「見える形」で出ていたし、ネット上でも大いに叩かれたのだが、3度目の今回はそれがほとんどない。

「やってる店を見つけたお客さんたちは『やったー』って感じで堂々と入っていかれます。以前はコソコソ入っていかれたんですが…」(細井さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

なかやまきんに君が参加した“謎の妖怪セミナー”とは…
なかやまきんに君が通う“謎の妖怪セミナー”の仰天内容〈悪いことは妖怪のせい〉〈サントリー製品はすべて妖怪〉出演したサントリーのウェブCMは大丈夫か
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
昨秋からはオーストラリアを拠点に練習を重ねてきた池江璃花子(時事通信フォト)
【パリ五輪でのメダル獲得に向けて】池江璃花子、オーストラリア生活を支える相方は元“長友佑都の専属シェフ”
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
外交ジャーナリスト・手嶋龍一氏(左)と元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏が対談
【手嶋龍一氏×佐藤優氏対談】第2フェーズに突入した中東情勢の緊迫 イランの核施設の防空網を叩く「能力」と「意志」を匂わせたイスラエル
週刊ポスト
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン